甥っ子を可愛がりたい。妹が大切だ。
けれど、どう接していいのかわからない。
親しき者たちは、彼女たちと父親だけ。
だから、きっと寂しさを感じてはいるのだろう。
けれど、どうしていいのかわからない。
だから、父親に辛くあたる。
俺がこんなになったのはお前のせいだと。
けれど、それはサンフンの父親に対する甘えなのだろう。
高校生で一家の切り盛りをしている女の子、ヨニ。
誰かに頼りたい。けれど、頼れる母は死んでしまった。
父と弟は、当てにはならない。
だから誰にも頼れない。自分で生き抜くしか術がない。
そんな二人の奇妙な出会い。
二人ともに素直じゃない、意地っ張りな生き方をしている。
だから、お互いを罵り合いながらも、魅かれていったのだろう。
漢江のほとりで二人が声を出さず泣くシーンが秀逸。
父親に死なれかけたサンフン。父親に殺されかけたヨニ。
上手な甘え方を知らない。上手な頼り方がわからない。
感情を爆発させ直接相手にぶつけたら、
この唯一自分を地上に繋ぎ止めてくれている関係が壊れてしまうかもしれない。
そんな繊細な恐れ。
誰かに傍にいて欲しい。
だから声を出す訳にはいかないのだろう。
サンフンと同じ職業についた、ヨニの弟のヨンジュ。
この姉弟は、お互いを罵り合っていても、実は心の奥ではお互いを心配している。
だからお金を稼ぎたい弟。大金を持ってきた弟を心配する姉。
きっと、サンフンはヨンジュが、この家業には向いていないことを悟っていたのだろう。
だから強くあたる。止めさせようと。
けれど、その想いは逆に働いてしまった。そして、大きな悲劇を生んでしまった。
殺人を犯すことで最後には、悪の道にどっぷりとつかってしまったヨンジュ。
そして、サンフンは帰らぬ人となる。
荒削りなストーリーのように見えて、魅せ方がとても上手な映画。
特にラストで、サンフンの死後直後と、
その後のマンシクの焼肉屋の開店を交互に見せたのは、すばらしい。
一見すると、焼肉屋の開店に集う人々はとても幸せそう。
けれど、何かが足りない、何かが満たされていない。
それが画面からよく伝わってくる。
悲しみに声を出さずじっと耐えるヨニが、とても印象的。
とても不器用に生きて散っていったサンフン。
それでも、彼は幸せだったのかもしれない。
なぜなら、彼の優しさを理解する人々に囲まれていたのだから。
愛する術を解らないままに、愛を求めて突っ走った男の魂。
そんな男の魂の叫び。
その鬼気迫る迫力と哀しさに圧倒された映画。
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