アマデウス 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




神の声を代弁する才能をもつ男。
方や、その価値を認めることしかできなかった男。
必死に望んでも得られなかった才能。
その才能に対する嫉妬がもたらす悲劇。
この映画を見ると、嫉妬というものが、
愛情と憎しみが入り混じった感情であることがよく分かる。
そんな愛憎入り混じった、息をもつかせない映画。
そして、神の声を代弁するという、ひとつの形にしか、
自らの幸せを考えることができなかった男の悲劇を描いた映画。



「神の前では誰もが平等です。」
そんな神父の言葉に鋭く反応するサリエリ。
彼は良く知っている。
神が、えこひいきをするという存在であるということを。

神の声を代弁する才能を与えられたモーツアルト。
一方で、その才能を評価し認めることしかできないサリエリ。

モーツァルトに出会う前のサリエリは、
自らに音楽を学ぶチャンスを与えてくれた神に感謝し、
神に尽くし、神の教えを守り、自らの誓いを守る、
信仰心に溢れた男であった。
しかし、モーツァルトに出会ってから、彼の人生は狂ってゆく。

続きを読む

明日に向って撃て! 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




俺たちに、明るい明日はやってはこない。
なぜなら、俺たちは、俺たち自身の生き方を、
今さら変えることはできないから。
そんなことは、十分承知している。
だからこそ、俺たちなりのやり方で、今を精一杯生きた。
けれど、俺たちのような男でも、生きることができる明日を捜し求めた。
そんな不器用な生き方しかできなかった男たちを描いた映画。



広くて広大なアメリカの大地。
たとえ、子悪党でも、その生存を許された場所が、
アメリカの片隅には確かにあった。
しかし、時代は流れ、そんな場所も失われようとしている。

続きを読む

アイ・アム・レジェンド 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




地球に一人取り残されてしまった男。
一人孤独に耐えて生きてきた。
本当は自分も死んでしまいたかった。
家族の元へ旅立ちたかった。
しかし、残された彼には、やらなければならないことがある。
それは人類救済という大きな使命。
彼は神を信じてはいない。
しかし、人が蒔いてしまった悪を、同じ人として、また、科学者として、
これ以上放置しておくわけにはいかないのだ。
かなり独善的な正義ではあるが、彼は最後には目的を達成する。
一人孤独に耐え抜き、自らの使命を成し遂げた男を描いた映画。



2011年の世界。
そこはウィルスが蔓延した死の世界。
そんな世界に一人取り残された男、ネビル。
家族は眼の前で死に、生きる希望もない。
心の支えはただ一つ。
ダークシカーと呼ばれる人類の成れの果てを、救済というよりは駆除すること。
ダークシカーは人が陥ってしまった悪の存在。
人類が蒔いてしまった黒い影。
人として、科学者として、ダークシカーは許せない存在なのだ。
この悪と戦う事が出来るのは、もはや、自分しか残されていない。
多分ネビルは死にたかったのだろうが、この独善的な正義感が、
今の孤独な彼を支えているのだろう。
そして、最後にはその目的を達する。


この映画には、とても奇妙な印象を持つ。
ラストシーンばかりが妙に浮いているのだ。
そして、前半で散りばめられた伏線が収束しない。
後で知ったのであるが、この映画には上映直前にエンディングが差し替えられたらしい。
なるほど、と感じる。

続きを読む

あの空をおぼえてる 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




子供は親が思う以上に思慮深く、たくましい。
親は自分が思う以上に脆くて弱く、失った者に心を捕われ、
自らを責め、周りに想いがいたらない。
だが守るべき存在に気付いた時、
人は人生の様々な障害を乗り越える勇気が湧いてくる。

描かれている題材はとても美しい。
しかし、私にだけかもしれないが、とても残念な映画でした。
いろいろな事が詰め込んであり、それらが上手に流れてはいない。
そんな印象をもちました。


最愛の娘を失った家族。
両親は共にその大きな心の穴を埋められないでいる。
息子である英治が妹を思い出すシーンが、いい。
ともすれと、はしゃぎすぎでウザく見える吉田里琴さんの演技ではあるが、
死んでしまった故人を思い返すのは、得てしてそんな姿なのだろうし、
娘が如何に家族のムードメーカーであったのかが、良く判る。
そして、こんなにも騒がしくて愛くるしい存在が失われた時の喪失感も。

続きを読む

あなたになら言える秘密のこと 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。




この感想は多くの「ネタバレ」が含まれています。
映画鑑賞の後に、以下を読むことをお勧めします。
というか、絶対そうしてください!!


この世の地獄を体験してしまった。
そして、自分の大切な友人は逝ってしまった。
自分が死ねばよかったのに、自分だけ生き残ってしまった。
果たして、今、自分は生きていてもいいのだろうか?
自分に、生きることの喜びを味わう資格が果たしてあるのか?
そんな女性と男性が不思議な縁で導かれ、
お互いを癒し、明日を生きるようになるまでを描いた映画。


ハンナは地獄を経験してきた女性。
友人の悲痛な叫びに、
彼女の安らかな死を願ってしまったハンナ。
生き残ってしまったものの、
果たして自分には幸せになる権利があるのか?
人並みの娯楽や美食、喜びや幸せといった人間的な感情を極端に避け、
無味乾燥な日々に自分を押し込めて生活している。

続きを読む