人妻であるはずのデイジーを諦めきれないギャツビー。
自身の才覚で今の財を成すことができた。
だから、デイジーも手に入れることができるはずだ。
どんな夢や希望でも、自分にはそれらを叶える力が備わっている。
そう、強く確信しているギャツビー。
目と鼻の先に居るデイジー。
しかし、自分からは行動を起こせない。
毎晩、豪勢なパーティーを開いてもデイジーは来てくれない。
その奥ゆかしさは純情の裏返し。
そして、ニックに偶然の出会いを演出するように頼むギャツビー。
自身の出生を、偽っていたギャツビー。
本当は極貧の農家の生まれであること。
社交術は偶然助けた富豪に教えてもらったこと。
今の財産も怪しい裏稼業で稼いでいること。
オックスフォードには五か月しか通っていなかったこと。
過去はやり直せると強く確信しているギャツビー。
しかし、どんなに強く願っても、
どんなに財を投じようとも、
過去は変えられない。
トムの目の前で、
デイジーにトムを愛してはいないことを告げさせようとするギャツビー。
しかし、様々なトムとの思い出。
それらを無くすことはできない。
逆にトムになじられ激昂してしまったギャツビー。
彼の生い立ちも変えられない。
デイジーを庇い、その罪を引き受けた形で死んでしまったギャツビー。
葬儀に参加したのはレポーター以外ではニックだけ。
豪華なパーティーに参加していた者たちも関りを避けた。
デイジーですら来てはくれなかった。
自身の願いを諦めず、
人生の全てを投じたギャツビー。
しかし、その最後は、とても哀れ。
手に入れることはできなかったデイジー。
世間からは本物とは認められなかった。
けれど、デイジーを愛したギャツビーの純粋さは本物なのだろう。
叶えられなかったギャツビーの願い。
そこに哀れさを感じさせる映画。
Close.△