秘密基地的な旧校舎で偶然出会った業平くん。
業平くんに一目惚れをしてしまう琴子。
なんとかデートまでこぎつけたものの業平くんが魅かれていたのは縁。
きっかけは偶然だったのかもしれない。
しかし業平くんが抱えている事情を理解した縁と、
それに興味を示せなかった琴子。
その辺りが二人の明暗を分けたのだろう。
幼い時に母親に捨てられ父親は心の病を抱えている。
父親のことは大切にしたい。母親のことも悪くは思いたくはない。
そんな家庭と事情の悩みを抱えている業平くん。
悪さする人はタンクに入れてしまえばよい。
でも業平くんの父親も母親も悪さする人には当てはまらない。
でも、ある時気づけば父親の首を絞めていた。
母親は死んでしまったと考えたほうが気が楽だ。
自分は、とても身勝手な人間だと考えていた業平くん。
母親が家出してしまった純。
やり場のない怒りを父親にぶつけ、
家には帰りたくはないと考えている女子高生。
父親の再婚相手に恋をしている伊尾。
無節操にも体を重ねあう二人。
何も気づいていない、何も知らない。
そんな雰囲気の岡田。
豪雨でショッピングモールに閉じ込められた五人。
お互いの本音を語り合う。
映画の冒頭で描かれた殺人事件。
高校生が親を殺してしまったという痛ましい出来事。
五人には無関係であったが、
いつ、そうなってもおかしくはない状況に置かれていると五人は考えている。
確かにそうなのかもしれない。
けれどショッピングモールでの会話が五人の世界を変えてゆく。
母親の再婚相手には優しくしたい。傷つけたいわけではない
伊尾の言葉を理解したのだろう。父親と会話を始める純。
父親のことは良い方向に向かっている。それも縁のおかげだ。
縁に告白をする業平くん。しかし、それを拒む縁。
縁が恋しているのは琴子。
何も知らないと思っていた岡田だが、すべてを感づいていたのだ。
それが大人というものなのだろう。
最後には琴子と仲直りをする縁。
これからも自分の恋心は隠していくのだろう。
自分たちが心を開けば世界は開けてゆく。
悩みを打ち明ければ心が軽くなる。
苦しみを理解してもらえれば他人にも優しくなれる。
悲惨な環境の中、しかし、それぞれの到達点を見出す彼ら。
そんな彼らの到達点が微笑ましく感じた映画。
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