のこのこ弁当屋で働く、ちひろさん。
愛想も良く常連客の人気者。
そして、元風俗嬢。
子供に虐められていたホームレスのおじさん。
機転を利かせ子供を追い払うちひろさんがカッコいい。
一緒に弁当を食べる。体を洗ってあげる。
ビールまで御馳走しようとしたが断られる。
おじさんは深くは関わらないほうが良いことを知っているのだろう。
だから、ちひろさんも深くは関わらない。
お弁当を一緒に食べて、世間話をする程度。
おじさんが死んでしまった。
本来ならば届けなければならないのだろうが、
自分で埋葬をすることにした、ちひろさん。
引き取ってくれる家族もいないだろう。
そんな寂しい思いをおじさんにはさせたくはない。
だから自分で埋葬をしたのだろう。
ちひろさんを盗撮しているオカジ。
相手のことを詮索はしない。
言葉にしても本当のことかどうかわからない。
逆にあれこれ聞かれるのは嫌なことだと知っている。
だから詮索はしない。
けれど見ていればわかる。
家族や学友に問題を抱えていることは。
おじさんが縁でしりあったべっちんを紹介する。
問題を抱えた同士ならば上手くいくと考えたのだろうか。
ちひろさんの思惑通り意気投合する二人。
ちひろさんにイタズラを仕掛けてきたマコト。
食事の世話をしているとマコトの母親から文句を言われた。
それは仕方のないこと。分かってもらえるわけもない。
そして母親の必死さも理解できる。
母親が喜ぶと思い花をプレゼントしたマコト。
しかし、これもちひろさんに対する文句の対象となってしまった。
必死なのはわかる。マコトを強く愛しているのもわかる。
だから自信を持てよ、そしてマコトをよく見ろよ。
それらのちひろさんの言葉は、
なんでも見通す神の目を持つがごとく、
洞察力と説得力がある。
以前の風俗仲間であったバジル姉さん。
以前の風俗店の店長であった内海。
バジル姉さんは内海に魅かれていたのだろう。
ちひろさんと内海が二人きりでドライブしたことを知り激怒するバジル姉さん。
これは勘違いなのだろうけど、相手には通じない。
ちひろさんを見ていればわかるはずの事なのに。
けれど判り合えないことを認めれば楽になれる。
そして些細なことでも幸せに感じることができる。
べっぴんに対するオカジの会えてよかったという言葉。
マコトの母親が作った焼きそばの味。
多恵さんにだっこされること。
それらが本当に幸せに感じられる。
多恵さんを同じ星から来た人と感じていた、ちひろさん。
身分を偽ってお見舞いに訪れる。
そして、多恵さんが希望する通り、外に連れ出す。
多恵さんが本当の母親だったら今の自分はどうなっていたのか?
しかし、ちひろさんの魅力は今までの様々な経験を糧にしてきた結果。
だから今以上には魅力的にはならなかったかもしれない。
多恵さんが退院してきた。
二人でのこのこ弁当屋を切り盛りしていくという選択もあっただろう。
しかし、弁当屋を去ってしまうちひろさん。
これ以上親しくなると、いつか来るであろう別れの日が辛くなる。
だから孤独を選んだのだろう。
自分を見失わない為に、
自分を守る為に、
孤独を選択した、ちひろさん。
それは寂しい生き方なのか、
しかし、ちひろさんの人生観には魅かれるものもある。
果たしてちひろさんは何処に流れ着くのだろうか?
最初はちひろさんの自由奔放な生き方に憧れた。
けれど、よく判らなくなってしまった。
とても不思議な雰囲気を感じた映画。
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