星を追う子ども  
2012.07.12.Thu / 13:56 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






誰かが自分の事を想ってくれている。
忘れないで憶えていてくれる。
それが確信できた時、人は、とても幸せになれるのだろう。

たとえ、その人が、
自分が行けない遠い世界や、
死の世界に居たとしても、

たとえ、自身の寿命が尽き、この世界から消滅したとしても。
たとえ、その人には二度と会えないとしても。

寂しさのあまり、何かを懸命に求めた人々。
長い旅の果てに、求める者が、
この世界のどこかに存在することを確信できた。
だから生きてゆける。
親しき人の死を受け入れて。

時を越え、次元を越え、生と死さえ越えることができる人と人との絆。
そんな絆の暖かさが心に残る映画。




早くに父親に死なれた少女、アスナ。
母親との二人暮らし故に、寂しさを抱え、
しかし、その寂しさを隠し、無理をしている女の子。

アスナが偶然に出会った少年、シュンとシン。
そして妻を生き返らせたいモリサキ先生と共に、
アスナはアガルタを旅する。

アスナがアガルタを旅する理由。
それは、遠い違う場所にいかなきゃと考えていたから。
自分が居たい場所がここではないから。
それはつまり、居場所が無い此処では寂しくてしょうがないから。
アスナが偶然聴いた音楽。
それは、死にゆくシュンが自身の存在を託して謳った歌。
その歌は、永遠にアスナの心に刻まれた。
危険を冒してでもシュンは自分の歌を心に刻んだ人に会いたかった。
そんな人がこの世界に居るのなら、自分の存在も永遠なのだから。
死ぬのは怖い。けれど受け入れることができたのだろう。



ただ、妻を生き返らせたかったモリサキ先生。
その為だけにアガルタを旅し、人を脅し、アスナの体を利用する。
その行いは許されるものではない。それは本人も自覚している。
けれど、どうしても妻を取り返したい。

しかし、その願いは叶うことはできなかった。
いや、大きな代償を払い一瞬だけ叶った妻との再会。そして別れ。
モリサキ先生は、その一緒で理解できたのだろう。
妻が今もなお、死の世界で自分の身を案じて居てくれていることを。



兄に死なれたシン。
シンはアスナ同様に、ここには居場所が無いと、
違和感を感じ続けていたのではないのだろうか?
そして、巡り会ったアスナという存在。
恋とか愛情とかとは関係が無い、けれど、自分を想ってくれる存在。
だから、お互いを大切に感じ、守ったのだろう。


滅び行くアガルタという世界。
人々は、その滅びを達観した思想で受け入れている。
だから、逆に滅びゆくのだろう。
逆に滅びを拒絶するかのように、
心の欲するままに求め続けたアスナ、モリサキ、そしてシン。
アガルタの住人からすれば未熟な人々。
けれど、未熟は未熟なりに求めなければ得ることも叶わない。
それが若さ故の欠点であり長所でもあるのだろう。

「もう止めてくれ、リサには罪はない。」
「生きている人間が大切だ。」
彼らは力の限り、想いの限り、求めていた。
どちらかが間違いで、どちらかが正しいということではない。
そして、その求め続けた結果、
彼らは求めていたものに、たどり着けたのだろう。

最後には、
アガルタを去るアスナ。
妻の死を受け入れたモリサキ。
住んでいた国には帰れないシンは、
きっと放浪の旅に出るのだろう。モリサキと共に。
でも、もう大丈夫。なぜなら、彼ら三人は、
自分の事を想ってくれている誰かが、
この世界のどこかに存在していることを確信できたのだから。


寂しさのあまり、何かを懸命に求めた人々。
長い旅の果てに、求める者が、
この世界のどこかに存在することを確信できた。
だから生きてゆける。
親しき人の死を受け入れて。

時を越え、次元を越え、生と死さえ越えることができる人と人との絆。
そんな絆の暖かさが心に残る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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