火天の城  
2012.07.23.Mon / 14:32 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






安土の山を丸ごと城にする。
五重の天主を構築する。
それは未だかつて、見たことも無い壮大な城。
その城の築城に挑む男たち。
それは、まさに戦国版プロジェクトX

しかし、降りかかる困難の連続。
巨大な吹き抜けを要望する信長。
支柱とすべき千年檜の入手。
事故、そして、番匠たちの不安。
そして、築城は国造り。

良い城を造りたい。
何千年もの風雪に耐える城を造りたい。
その一念で一大事業を成し遂げた男を描いた映画。

ただ、後半のストーリーの迷走が残念な映画。




宮大工の岡部又右衛門。
仕事に対して実直で誠実。良い仕事に命を捧げる覚悟を持つ男。

指図争いの場で、信長の要請を無視し命を掛けて説いた安全性。
その決死の態度により、安土城築城を受注する、又右衛門。
未だかって無い壮大な城の築城。
皆が心を一つにしなければ成し遂げられないであろうプロジェクト。
ある者は又右衛門を慕い、信頼し、覚悟を決めて築城に望む。
けれど、事業の困難さに根を上げ不平を漏らす者も現れる。
他人の心を理解し、皆を一つに束ねるのは難しい。
時に弱気になり愚痴を言ってしまう又右衛門。
そんな又右衛門を常に笑顔で支える田鶴の心根が美しい。
辛くても苦しくても涙は見せず、笑顔を絶やさない。
そんな田鶴の心根が美しい。


果たして千年檜は入手できるのか?
お互いを信頼した故の約束。
しかし、敵国の大工のために命を捧げる男が、いるのだろうか?
それでも又右衛門は甚兵衛を信じる。
そして報われた、又右衛門の想い。

命を掛けて千年檜を運んだ甚兵衛。
それは、お互いの仕事の真価を認め合った間柄だからであろう。
又右衛門の夢を、その夢に掛ける覚悟を理解した甚兵衛。
甚兵衛が育てた千年檜の真価を理解した又右衛門。
その道を極めた者同士の友情にも似た想い。これも美しい。

その甚兵衛を切った、木曾義昌。
彼も本当は、甚兵衛たちの想いを理解しただろう。
けれど彼の立場上、甚兵衛を切らざるえない。
「手厚く葬ってやれ」。
その言葉に彼の無念さがにじみ出ているように感じられた。


皆を一つにまとめること。
それには人それぞれに色々な方法があるだろう。
自身のもつカリスマ性で人を動かすのが、信長のやり方だ。
又右衛門は、先頭に立ち、自らが困難に立ち向かうことで、
人を動かすように感じた。
であるならば、千年檜を入手した時点で、
それまで不平を言っていた熊蔵がどのような態度をとるか、
とても興味があった。
奇妙なアクションシーンも作品からは浮いていた様に感じられたが、
熊蔵が色恋沙汰で死んでしまったのも、その意図が良く見ない。


物語が進むに従い、進んでいく築城作業。
けれど、画面からは、それが感じられない。
また、城造りは国創り、というのも台詞だけで、
映画自身から感じられなかった。
それらも残念。


クライマックスは親柱を4寸切るという作業。
皆が又右衛門を信じる。又右衛門が皆を信じる。
そんな信頼関係が無ければ実施さえできない作業。
いつ柱が落ちて自らの手を挟み砕くか分からない状況。
それでも、市造は又右衛門の後について行く。


良い城を造りたい。
何千年もの風雪に耐える城を造りたい。
その一念で一大事業を成し遂げた男を描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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