日本沈没   
2012.07.30.Mon / 14:51 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






日本が沈む。
そんな衝撃的な事実を突きつけられた時、
他国の人々の善意と、日本国民の生きる力を信じて、
一人でも多くの人間を助けようと奔走する男たち。
日本人としてのアイデンティが無くなることや未来を悲観して、
潔く愛する日本と運命をともにした男たち。

生きることを選択することは苦難を選択すること。
それでも生きる。
静かに、そして深い覚悟を湛えた映画。




長期にわたり安定経済成長を果たしてきた日本。
けれど、誰もが不安を抱えている。
一歩、日本から外に出れば紛争、貧困、不況、様々な災厄。
日本の平穏と平和は紙一重で守られているに過ぎない。
そして一昔前までは日本自身も戦争で荒れ果てていた。
そういう認識があるからこそ不安に駆られる。

日本が沈んでしまう。
今まで私たちを守ってくれていた国土。
それは、平和と平穏の源。
その時、私たちは一体どうすればいいのか。
この映画は、私たちの不安に対して、そんな命題を突きつけてくる。
東京を襲う大震災。
当時としては最新の技術での映画化であっただろうが、
いまやCG全盛の世の中。ちゃちに見えてしまうのは仕方ない。
けれど、そこで描かれている絶望的な地獄絵は、圧巻だ。
機能しない消防。焼け石に水的な自衛隊の消化活動。
人々を襲う業火、降り注ぐガラス、そして大洪水。
逃げ場を失い成す術なく火に焼かれてしまう人々。
個人の力では生き延びることさえ適わない。
非常食は東京に住む人口よりもはるかに少ないという現実。
それまで安全とされてきた大都市、東京は無残にも崩壊してしまう。
けれど、私たちは、これが明日にでも起こるかもしれないことを知っている。
だから、不安になるのだろう。

誰かが東京大震災の脅威を声高に叫んでいれば、
被害者の内の何人かは助かっていたはずだ。
御用聞き学者の言葉に安心せず、非常時に備えていれば、、、、
これは40年前に作られた映画の台詞とは思えない。

それまで、有効な手を打つこともできず悩みの中にいた山本総理。
されど、震災後は開き直ったかのごとく決意する、決断する、そして行動を起こす。
起こるか起こらないかわからない有事に備えることを。


日本という国土が無くなれば日本人というアイデンティもブランドも失ってしまう。
それでは、海外で日本国民を守ってくれていたものを全て失ってしまうことになる。
そんな庇護を失って生き延びることができるのだろうか?
いっそ、日本と運命をともにしたほうが幸せなのかもしれない。
生まれた場所、住んでいた場所、愛する場所を失ってまでも、
生きる意味があるのだろうか?
そんな場所を失ってしまう悲しみを味わうくらいならば、
いっそ、日本と運命をともにしたほうが幸せなのかもしれない。

けれど、生きる。
未来には困難も悲しみもあるだろうが希望も喜びも確かに存在する。

結婚を決めた、小野寺と玲子。
富士山噴火に巻き込まれ離れ離れになろうとも、
お互いの生存を信じ、生きることを諦めない。
一人でも多くの日本人を助けることは玲子をも救うこと。
小野寺の執念が凄まじい。

そんな人々を後押しするかのごとく、
一人でも多くの日本人を救うために全世界を奔走する山本首相。
丹波哲郎さんの鬼気迫る演技が素晴らしい。

果たして日本人の将来は?
再び日本国を再建するのか?
それとも、その土地の人々に溶け込むのか?
離れ離れになった小野寺と玲子の運命は?

そして、もし、日本が沈んだ時、自分ならばどうしただろうか?
そもそも、生き延びることができるのだろうか?
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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