第九軍団のワシ  
2012.08.02.Thu / 14:55 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






父親の名誉を回復する為、
この世の果てに旅だった男。

彼にとって名誉とは、
他人が自分をどう評価するかということ。
旅の最初ではそう感じていたのだろう。

けれど幾多の経験を経て分かってきた事。
自分たちには自分たちの名誉があるのだろうが、
敵には敵の名誉がある。そして、
名誉とは、
自分が自分に恥ずかしくない生き方が出来たかどうかと言うこと。

名誉と自由の意味を真に理解した男。
最後に男が友にかけた言葉がさわやかで嬉しい映画。




父を尊敬していたローマの兵士、マーカス。
しかし、父の軍団は全滅し、象徴たる黄金のワシは喪失。
父親の名誉は地に落ちてしまう。
父親の名誉を回復したい。その為に戦うマーカス。
しかし、負傷の為に除隊を余儀なくされてしまう。
マーカスに命を助けられた奴隷、エスカ。
命を助けられたことにより、エスカはマーカスに忠誠を誓う。
けれど、この時のマーカスには、
エスカの言葉の重さは、まだ、理解できていなかったのだろう。

食事を共にした政治家と、その息子の発言に怒る。
エスカには、手術中の自分の無様な姿を見せたくはない。
そんな姿から、マーカスは、名誉を、
他人が自分をどう評価するのかということだと、
考えていたように感じられる。
だから他人の目や批判が気になるのだろう。

黄金のワシが北の神殿に飾られている。
その奪還を決意したマーカス。

長城よりも北の世界。
そこは世界の果て。非文明世界。
厳しい自然が支配する場所。
まさに人が足を踏み入れてはいけないような風景。
しかし、そこにも人は存在している。
彼ら独自の風習や文化を持ちならが生きている。
そして彼らは、けっして野蛮人などではない。

言葉が分からないから状況がつかめない。
そのことにイラつくマーカス。
そして、父の軍隊が負けた場所を実は知っていたエスカ。
それ故に二人は仲違いし、アザラシ族に捕まってしまう。
アザラシ族に奴隷のように扱われるマーカス。

奴隷のように扱われて知る、奴隷の気持ち。
誰も助けには来てはくれない。そんな絶望感。
黄金のワシを発見しても成す術もない無力感。
しかし、自分を助け出してくれたエスカ。

自分を憎んでいたはずだったエスカ。
しかし、彼は誓いを破らなかった。それは自身の名誉に掛けて。
そして、その誓いは彼が自由を得られるまで破られることはなかった。
さらに、自由を得た後でさえ、彼はマーカスを助けることを選ぶ。
それが彼の生き方。そして自由の使い方なのだろう。

戦いの最中、逃げ出していたローマの兵士たち。
しかし、彼らは帰って来た。
戦場から逃げ出して命は助かった。しかし後悔に苛まれる日々。
だから彼らは帰って来た。自らの名誉を取り戻すために。
自分に恥ずかしくない人生を全うするために。

マーカスは最後には理解できたのだろう。
野蛮と思われていた人々は、実は野蛮人ではない。
ただ、自分たちが彼らを理解していなかっただけ。
名誉とは他人が自分をどう評価するのか、ということではない。
自分が自身の行いを評価するということ。
自分が自身の心に恥ずかしくない生き方をしたかどうかということ。
だから、敵にも名誉がある。それは等しく尊重しなければならない。


最後にマーカスがエスカに掛けた言葉。
「お前次第だ。」
それは、良き友として真価を認めた相手に対する敬意と信頼の表れ。
名誉と自由の意味を真に理解した男。
最後に男が友としてかけた言葉がさわやかで嬉しい映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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