レンタネコ  
2012.08.09.Thu / 15:08 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






心に大きな穴ぼこが空いてしまった。
それでも生きてゆかなければならない時、
小さいけれど暖かな存在が心の穴ぼこを埋めてくれる。
落ち込んで暗くなった気持ちを楽にしてくれる。
ほのぼのとしていて、暖かい。
見ていて、とても嬉しい映画。

荻上直子監督と市川実日子さん、それとネコ。
それは、鑑賞前から良い作品になることを予感させてくれる、
微笑ましくも素晴らしい組み合わせ。
しかも、鑑賞前の予想を上回った映画。

ファンタジーのように生活感や現実感が感じられない設定。
されど、登場人物たちが抱えている感情はとてもシュール。
そんな不思議なバランスの上で成りたっている、
とても心地よい雰囲気をたたえた、やさしい映画。




レンタネコを営むサヨコさん。
怪しげな副業を数多く持つ女性。
寂しい人を見つけるのが上手くて、
人の心に空いた穴ぼこを見抜く事が出来る。
一見すると、とても完成された人生感を持つようでいて、
しかし、自身の心にも自分では埋められない穴ぼこを持っている。
レンタネコを通して、サヨコさんが巡りあう様々な人々。
ちょっと説教くささを感じてしまうエピソードも有るものの、
どれも、見ていて微笑ましくも嬉しくなるエピソードばかり。
心に穴ぼこを抱えていた人々。
その穴ぼこが埋めらるのを見ていると、
なんだかとても嬉しくなってくる。

「さみしいまま、なんてゼッタイいけません。」
だから、心の穴ぼこは埋めなければいけない。
サヨコさんがレンタネコを営んでいるのは、
きっと他人の心の穴ぼこを埋めたかったから。
なぜなら空いてしまった心の穴ぼこの寂しさと痛みが良く分かるから。
おばあさんという絶対的な存在を失ったサヨコさん。
だから、他の人の穴ぼこを埋めたいと考えたのだろう。

本当は誰だって穴ぼこは埋めたいと思っている。
けれど、それはなかなか難しい。
皆忙しい。悲しいことに身内であっても構ってはいられない。
だから他人に穴ぼこを見つけてもらう機会すら訪れない。
昔、おばあさんに作ってもらったゼリー。
その味と共に息子は、おばあさんの愛情を思い出したことのだろう。
もしかすると、もう少し会いにくれば良かったという後悔と共に。


けれどネコといえども埋められない穴ぼこはある。
同じ時間と場所を共有した昔の男友達。
じゃ、また、と言いながら帰ってはこなかった。
ネコでも埋められない穴ぼこは確かにある。
それでも、ネコは、穴ぼこの空いた心を楽にしてくれる。
明日を生きる力をくれる。


おばあちゃん子でたくさんのネコの面倒をみる下宿の管理人のような雰囲気。
不思議と市川実日子さんにこれらの雰囲気が似合っている。

レンタネコという不思議な商売は、実際には存在しないはずなのに、
なぜか、どこかで営まれてるんじゃないかと、つい思えてしまう。
サヨコさんの、あの呼び声が、どこからともなく聞こえてくるのではないか、
つい、そんな気にさせられてしまう。

怪しげな副業という有り得なさそうな設定。
にもかかわらず、言ってる事、やっている事は、とてもまとも。
そんな奇妙で不思議なバランスが、心地よくて妙にクセになる。


とても心地よい雰囲気をたたえた、やさしくて嬉しい映画。

レンタネコ@ぴあ映画生活
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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