檸檬のころ  
2012.09.06.Thu / 10:52 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




傷つきながらも
突っ走れ
届かなくても
追いかけろ


未来の選択。現実との出会い。
高校三年生は、自分の力だけでは思い通りにはならない事に、
沢山出会う時期なのだろう。
進路の事、恋愛の事、才能の事。厳しい現実と自己の限界。
決して甘い考えを持っていたわけではない。
むしろ醒めた眼で悟っていたはずだった。
けれど、それらが実経験となる。
高校三年生は、そんな時期。

しかし、強く生きていく。
別れや悲しみを乗り越えて。

青春の静かな残酷さ、しかし、その残酷さに耐える彼ら。
その残酷さゆえに、彼らの強さが印象に残る映画。




東京の大学を目指す高校三年生、秋元さん。
高校のマドンナ的な存在で、吹奏楽部の指揮者。
けれど、映画の冒頭では、なぜ東京に行きたいのか、
自身の気持ちに明確な理由が見出せてはいない女子学生。


音楽ライターを目指している、白田さん。
自分には音楽しかない、けれど、目指しているのはライター。
聴くことのほうが好きだからなのか、他人と群れるのは嫌だからなのか。
けれど、創るよりは聴くほうがハードルが低そう。
そんな打算的な考えもあるように思えてならない。
冒頭では、仲が良さそうだった二人。
けれど、本編では二人の青春の交差は、重要ではあるが、とてもわずか。
そして、秋元さんのパートは、とても分かりにくい。


秋元さんの好きな人は誰なのか?
佐々木君がルパンを選んだ時に見せた、とまどいの表情。
あてつけの如く、佐々木君にルパンを割り当て、西君にはアルプス一万尺。
秋元さんは西君の事が好きなのか、と思いきや、実は佐々木君が好き。
この展開には、正直ついていけなかった。
そして、進路の事でも妥協はしない。佐々木君が地元に残っても東京行きを諦めない。
けれど、東京に具体的な未来を見てはいない。
「世界は、こんなにも熱いんだ。」
という台詞で外の世界に飛び出す意味を見出したのだろうが、
もう少し葛藤しても良かったのではないのだろうか?

「……ゴメン。オレ、これが精一杯」
「……うん」
「カヨちゃん、東京に行ったら、オレのこと、忘れるんだろうな」
「……うん」
「ひでえなー!」
「……うん」
とても冷めた目で未来を見つめる二人。
たとえ、佐々木君が東京に行っても二人は別れる運命にあったように思える。
なぜなら、二人は生きる世界がとても違うように感じたから。
見えている景色、未来が、とても違うように思えたから。
そして、秋元さんも佐々木君にも、今ならそれが解るのだろう。

西君をキャッチボールに誘い、けれど断られた佐々木君。
今までは同じ道を歩んでいたと思っていた。
けれど実は違っていたのだ。
高校三年生は、そんなことが実体験となる季節なのだろう。



いつも一人でいる白田さん。
クラスメイトと群れないのは、自尊心よりも、コンプレックスの裏返しなのだろう。
友達に囲まれている秋元さんを見て、うらやましいと思う気持ちと、敵わないと感じる気持ち。
白田さんは、それらを抑えるために孤高の道を選んだように思えてならない。
けれど、突きつけられた現実はとても厳しい。
後輩には追い抜かれる。好きになった人には彼女がいた。
けれど開き直って書いた詩が、コンプレックスの対象であった秋元さんに感動を与えた。
才能は無いのかもしれない。上手くは出来ないかもしれない。
けれど好きであるならば、やるしかない。
そんな勇気を白田さんに与えたのだろう。

高校三年生は、
友人に対して「とても良かった。」「ありがとう」が素直に言える時期。
未来に対する打算のかけらも無く、恋愛が出来る時期。
けれど、お互いの進む道が違うことが現実となり、お互いが疎遠となっていく時期。
そして、自分の思い描いていた夢や人生が挫折するかもしれないと分かってしまう時期。
それでも別れや悲しみを乗り越えて自身の人生を駆け抜けてゆくのだろう。

青春の静かな残酷さ、しかし、その残酷さに耐える彼ら。
その残酷さゆえに、彼らの強さが印象に残る映画。



* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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