ブラック・ブレッド  
2012.10.11.Thu / 23:05 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






親が子供に与えたいもの。
子供が親に求めたもの。
その大きな差異が少年の心を闇に閉ざしてしまう。

その差異が生じてしまった理由。
それは、内戦直後のスペインの社会と経済情勢。
そして、子供が暮らす農村の貧困さ。

親が自らを犠牲にして子供に与えた幸せは、
子供にとっては汚れた人生。
それでも、その人生を選んだ子供。
多分、子供にとっては汚れた世界から決別するための選択なのだろう。


彼が送るであろう人生が殺伐としたものになって欲しくはない。
そして、いつか、親を許せる日が来て欲しい。
人としての幸せはどこにあるのか。
そんなことを考えさせられる映画。





両親の愛情に囲まれ純粋に育った少年、アンドレウ。
しかし、世の中の、そして、両親の汚れを知る時が来てしまう。
洞穴に住む羽をはやした怪物、ピトルリウア。
アンドレウにとっては、神秘の対象なのか、
それとも恐怖の対象であったのか?
しかし、その怪物を生み出してしまったのは、彼の父親。

父と母とだけの村での生活では知りえなかった様々なこと。
ヌリアの秘密。
父を助けるために母親が町長としたこと。
それらは、大人は汚れを隠したがり、嘘をつく生き物であるという事。


内戦直後のスペイン。貧しい農村。
綺麗ごとだけでは生きてはいけない。
それでも、息子には幸せな未来を与えてあげたい。
他に選択肢が無いままに、時代に流されてしまった父と母。
戦争のもっとも恐ろしいところは、人々の心を空っぽにしてしまうこと。
甘い考えかもしれないが、もしかしたら、
貧しいなりにも幸せに暮らすことができる選択肢があったのかもしれない。
人に後ろ指を刺されない美しい生き方が、、、
しかし、きっと、父親の罪悪感も貧しさと内戦の悲惨さで、
少なからず麻痺してしまっていたのだろう。

最後に父親は自らを犠牲にしてアンドレウの未来を開く。
しかし、アンドレウは、それに感謝などしていないのだろう。
このような汚れた世界から決別したかった。
ただ、その思いだけで選択した人生なのだろう。



題名のブラック・ブレッドとは、貧困の象徴。
貧しい者たちが配給によって口に出来るもの。
貧しい者たちには、白いパンを口にすることは許されないのだ。

息子に幸せになって欲しい、
ただ、それだけのために取った両親の行動。
しかし、多分、その行いによって経済的には豊かになれど、
精神的には不幸になってしまったアンドレウ。
それは、とても皮肉な結果だ。

病気がうつるからといって、アンドレウを遠ざけている青年。
しかし、アンドレウにとっては彼だけが美しい。


戦争による悲劇が子供たちの時代にまで及んでしまう。
貧困さが両親の愛情を歪ませて子供たちの心を闇に閉ざしてしまう。
心を闇に閉ざし、父親の愛情に背を向け、母親を使いの人とうそぶく。
明らかに、この映画はバットエンド。
だからこそ、このような悲劇は起こしてはならないのだと強く感じさせてくれる。
しかし、それでも、
彼が送るであろう人生が殺伐としたものになって欲しくはない。
そして、いつか、親を許せる日が来て欲しい。

人としての幸せはどこにあるのか。
そんなことを考えさせられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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