東京オアシス  
2012.10.25.Thu / 23:22 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






煮詰まった人生からの逃避。
まったく見知らぬ人との偶然の出会い。
自身の人生の再発見。
そして新しい旅立ち。

それは、人生におけるリセットと再構築なのだろう。
これを繰り返して人生は続いてゆく。
オアシスとは、緩やかに流れる時の中にだけあるのではなく、
逃避した先で出会った見知らぬ人々とのふれあいの中にも存在する。

オアシスで心がリセットされれば、
煮詰まった自身の人生も違って見えてくる。
今まで見えなかった自分が見えてくる。

そんな心のオアシスを描いた映画。


狙った雰囲気は悪くは無いと感じた。
映画として目指した方向性も悪くは無い。
けれど、失敗作に感じてしまった映画。
このような映画は、監督の技量が問われる映画のように思う。
果敢に挑んで失敗してしまった実験映画のようにも感じた。



この映画は三つのパートからなる。
何かに煮詰まってしまったトウコさんが、
人生から逃げ出すのが最初のパート。
昔の仕事仲間に出会い、彼女のことを知り、
多分、自分自身をも再発見するのが二番目のパート。
最後は、偶然知り合った女性に感化され新しい再出発を決めるパート。
何かが解決したわけでもなければ、何かが変化し変わったわけでもない。
けれど新鮮な気持ちで明日を迎えることが出来るようになる。
そして、このような出来事は人生に置いては、
螺旋のように繰り返されるのだろう。
トウコさんが最初に出会った青年、カガノ。
結婚詐欺師らしい男。そして、
トウコさん同様、何かから逃げている男。

カガノは、最初はトウコさんを迷惑そうにしている。
だから会話も弾まない。
トウコさんの無邪気さが辛うじて二人の会話を成立させている。
けれど、なぜ、カガノはトウコさんを車に乗せてしまったのか?
同じ、逃げる人間同士、共感したためなのか?
カガノがトウコさんをどのように見ているのか、
分かりにくくて見ていて辛い。

「僕は逃げたりしません。真剣にレタスを運ぶだけですよ。」
カガノは、トウコさんとの会話で、逃げないことを決めたのだろう。
カガノにとっても、トウコさんとの出会いの中に、
オアシスは存在したのだろう。
カガノのどこか晴れやかな表情に、そんなことを感じた。



映画館で隣に座った人は、もう、赤の他人ではない。
なぜなら、同じ映画を見て、同じ時間を過ごした間柄だから。
もし、その映画をお互いに楽しめれば、もっと親近感が沸くかもしれない。

分かっていたように思っていた。けれど知らないことの方が多い。
けれど、知らなかったということを知った時、別ななにかが見えてくる。
自分自身の人生を知らなかったキクチさん。
そんなキクチさんの思いを知らなかったトウコさん。
知らなかったことを意識した時、別な何かが見えてくる。

知らない人が、赤の他人には思えない。
知っていたはずの事が、実は知らなかった。
知らないことと、知っていることの境界は実は曖昧なのだろう。

知っていたと思ったいたのに知らなかった事を意識することが、
知らないはずなのに、ふとした接点から知っているように感じることが、
自身の人生を変えてゆく。



始めてのバイトなのに不採用にされてしまうのではないか。
自分には運がないと感じているヤスコさん。

自分が幸運な人間だと思うことはめったに無い。
常に感じてしまうのは、自分には運がない、ということ。
けれど、傍から見れば、それも紙一重のことなのだろう。
ツチブタを見ることが出来なかった二人。
それは運がなかったことなのか?
別なところに旅立つ目的が出来たという幸運なのか?


人生におけるリセットと再構築を繰り返して人は生きてゆく。
そんな心のオアシスを描いた映画。


製作者側は、無常観や人生の不思議さを表現したくて、
様々なシーンを構成したように思えた。
けれど、それには失敗しているようにも思える。

この映画の魅力を、どのように表現したかったのか?
映し出される風景の構図をどのようにすれば映画に写したかった魅力が表現できたのか?
そして、どのシーンに上映時間を割いて何を簡略化すればよかったのか?
その辺りをもっと煮詰めれば良い映画になったのではないかと思える。
果敢に挑んで失敗してしまった実験映画のように感じてしまった映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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