少女たちの羅針盤  
2012.10.25.Thu / 23:27 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






この映画を未見の人は、映画を見てから下記を読んでください。
ネタバレ満載なので。
お願いします。


原作は未読です。



自由を求め自らが属した劇団を飛び出した少女たち。
全てを自分達だけで決めることができる自由。
それは未来における行き先さえも。
しかし、それは逆に言えば、
全てを自分たちだけで決め、準備しなければならないということ。

何でも出来ると信じていた。
どんな障害でも乗り越えることが出来ると思っていた。
しかし各自が抱える悩み、コンプレックス、家庭の事情。

のめり込んで、全てを掛けて一生懸命になる。
自身をさらけ出して、ぶつかり合う。
だからこそ、目指す芸術が出来る。
しかし、それは危うくて、脆くて儚い。

この映画は、2つの映画が混ざったような印象を持ってしまう。
ひとつは犯人と被害者を探すサスペンス映画。
そして、もうひとつは、少女たちが夢を目指して突っ走る青春映画。
ただ、サスペンス映画としては、かなり弱く感じてしまう。
けれど、青春時代の危うさをサスペンスとして表現していたのなら、
かなり巧妙な映画とも思える。
彼女たちの誰かが、彼女たちの誰かを殺してしまう。
それは、才能への嫉妬、愛憎、妬み、コンプレックス、
からなのか?

彼女たちの持つ無限の可能性の素晴らしさと、
それ故の危うさが印象的な映画。



四人の少女を演じた俳優さんたちのいずれもが素晴らしかった。
特に、かなめを演じた、草刈麻有さんの静かな存在感。
それらも印象的な映画。
規律に縛られて自由が無い。
今に満足してしまい、向上心が感じられない。
だから、属する劇団を脱退し自由を求めた彼女たち。

思い立ったら即実行、猪突猛進型の少女、瑠美。
瑠美に引きずられるようでいて、
本心では瑠美以上に瑠美と同じことを感じていたであろう、梨里子。
おっとりしているようでいて、実は秘めたる行動力を持つ、かなめ。
家庭に複雑な状況を持つが、それに負けないだけの意思の強さを持つ、蘭。

劇団、羅針盤を結成した彼女たち。
羅針盤という名前が、彼女たちに似つかわしい。
東西南北という漢字が彼女たちの名前にあるからではない。
未来の行く末を自分たちで指し示す。
そんな自由を求めて結成された劇団だからだ。

大きな組織に属していれば、考えなくて済んだ事。
練習場所、公演会場、照明設備の準備、そして台本。
しかし、彼女たちは自身の力で解決してゆく。
けれど、乗り越えることが容易でない障害もある。
がむしゃらに頑張っただけでは解決しない問題がある。
そして純粋故に傷つき易い。

演劇フェスティバルに出演するために瑠美が書いた台本。
けれど、それに駄目出しをする、梨里子。
そして、梨里子が書いた台本が認められ、採用されてしまう。
それは、とても微妙な雰囲気だ。
瑠美には、自分が一番上手に台本を書けるというプライドがあったであろう。
そして、そんな才能と強さに梨里子は魅かれていたのだろう。
けれど、それが逆転してしまい、そして瑠美が、その事実を認めてしまった。
梨里子が感じたのは幻滅なのか、失望なのか、、、


いじめの問題、家庭と進路の問題。
劇団が路上で公演できなくなってしまったこと。
それは彼女たちだけでは、どうしようも無い問題。
そしてお互いに対する気持ちや関係を変えてしまうかもしれない出来事。
それらは殺人の動機になるほどに直接的には重くは無いのだろう。
けれど、些細な出来事が大きな悲劇を生み出してしまう。
彼女たちからは、そんな危うさを感じてしまう。

果たして彼女たちのうちに誰が殺され、誰が殺してしまうのか、、、

自分たちが抱える負の感情に負けて欲しくはない。
そう思っていたが、しかし、犯人は、まったく意外な人物。
それは、とてもうれしいく感じられた、どんでん返し。
なぜなら、彼女たちの抱えている危うさに彼女たちが負けなかったから。


彼女たちの持つ危うさ、脆さ、儚さ、しかし、
無限の可能性の素晴らしさが印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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