さらば復讐の狼たちよ  
2012.11.22.Thu / 23:23 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






たった七人で巨悪に挑む。
鑑賞前はかなりのハードボイルドな作品だと思っていた。
しかし、ユーモア溢れる、かなり緩い映画。
なんでもありの、寓話的な映画を創りたかったように感じられる。

それでも、渋く描かれた男の友情。
出会い方が違えば良き友となりえたのかもしれない。
そんな事を感じさせるラストの二人の会話の渋さ。
けれど相手の価値観を理解できないが故に殺しあってしまう皮肉。
県令に代表される役人という存在の嫌らしさ。
勝った方に味方する民衆のえげつなさ。
制作者サイドは意識していないかもしれない。
けれどブラックユーモア溢れる映画。




赴任途中の県令を襲い、
代わりに県令に成ることにした山賊のアバタのチャン。
身内を大切にする人情み溢れる男。
赴任先を支配している、その土地の権力者、ホアン。
当時の中国では、実質的な支配者はホアンのような男らしい。
そして、ホアンのような男が弱い民衆から搾取して、
そんな不当な搾取を見て見ぬふりをすることで県令は、
賄賂を受け取れるという仕組みのようだ。
けれど弱い民衆からは搾取しないと決めたチャン。
そんなチャンの方針によりお互いが邪魔な存在となってしまう二人。
けれどこの時点では、
まだお互いを殺すことまでは考えてはいなかったように感じられる。

チャンを陥れる為に六弟を罠にかけたホアン。
退くに退けない六弟は命を掛けて自らの潔白を証明する。
最初は些細な主導権争いなはずだった。
しかし、これがのチェンとホアンの間を決定的なものにしてしまう。

チャンを罠に掛ける為に食事に招待したホアン。
このような場合、二人の会話は緊張感溢れるものに成るはずだ。
けれど、どこか間抜けに見えてしまった二人の会話。
二人だけではなく、嘘が得意なマーがいたからかもしれない。
けれど狐と狸のばかしあいのような雰囲気。
帰宅後のチャンの台詞。
こんな奴らの相手が嫌だったから山賊になったんだ。
この台詞からも二人の会話がとても不毛なものであったことが印象づけらてしまう。

それでも正面きっては戦わない二人。
相手の出方を逆に利用し、利用したと思ったら逆にされていた。
このあたりにの展開は面白く感じられるが、
爽快感は残念ながら感じられない。

遂に復讐も大詰め。
死人を出しながらもホアンを追い詰めるチャン。
しかし、味方は四人、敵は四百人。
民衆を味方にすべく武器を配るチャン。
通常ならば民衆と力を合わせての戦いをクライマックスとして見せるだろう。
けれど、この映画はそうしない。
ホアンの影武者を民衆の前で殺し本物の威厳を失なわさせる。
この戦略には、なるほどと思う反面、
それ以上に印象に残ってしまうのは、
この映画で描かれている民衆というものの、えげつなさ。

生きている間は支配者に媚び、長いものには巻かれる。
たとえ自分たちを苦しめる者であっても逆らわない。
たとえ自分たちを救ってくれる存在であっても味方はしない。
けれど、コソコソと金を拾う。銃も拾う。
しかし、いったん権力者が死んでしまえば、誰もが略奪者。
それまで味方だったものも新しい支配者に簡単になびく。
民衆というものは、確かにそうなのかもしれない。
弱ければなおさらだ。
けれど、この映画では民衆には恥も外聞もない。
こんなに、あからさまに描いてしまうのは珍しいのではないだろうか?

ホアンは最後までチャンの価値観が理解できなかった。
金よりは、お前がいなくなること。
ホアンがチャンの価値観を最後まで理解できなかったからこそ、
二人の争いは大きくなり、
そして、ホアンは身を滅ぼすことになったのだろう。
逆に理解しようと試みれば最後も違ったのかもしれない。

制作者サイドは意識していないかもしれない。
けれどブラックユーモア溢れる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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