アダプテーション  
2012.11.29.Thu / 23:38 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






アダプテーションとは、適応、順応、そして脚色、という意味らしい。

環境の変化に順応して生き残ってきた生物たち。
淡々と進む物語がハリウッド仕様に脚色された映画。

情熱的な生き方に魅かれ、しかし、
自らが追い求めていたものがランではないと知った時、
その変化に順応していった女性記者。

自信過剰と自信喪失の間を揺れ動いていた男性脚本家が、
女性記者の順応を知り、弟のアドバイスに従い、
自身の人生に適応してゆく。


現実から目を背けていた二人の人生が交差する。
自身の人生で心を奪われていたものが実は幻であったこと。
自分が理想としていたものは頭でっかちな考えであり、
現実はもっと違うものであることに気付いたこと。
そして、自分がバカにしていたものに本当は価値があったこと。

人生に起こった大きな変化。
それを受け入れて自身を変えてゆく。
現実世界へのアダプテーションを描いた映画。
その方向には、はたして幸せが待っているのか、不幸が待っているのか。




ニューヨーカー誌の女性記者、オーリアン。
「蘭に魅せられた男」の原作者。

その原作を映画用に脚色する仕事を請け負った、チャーリー。
自分に自身が無いが故に自身の人生に冒険をしない男。

自分の脚本には、セックス、銃撃やカーチェイスは持ち込みたくない。
登場人物たちが立派な教訓を学んだり、成長したり、困難を克服して成功を収めたり。
そんな話は書きたくない。なぜなら、現実の人生は、そんなもんじゃないから。
しかし、それは自身の臆病な人生を肯定したいがための主張に思えてならない。

けれど、主張とは裏腹に頭の中で想像してしまう妄想。
実はチャーリーも、冒険的生き方を求めていたのではないのだろうか?
植物は容易に環境に適応する。
なぜなら、植物には捨てるべき記憶が無いから。
しかし、人間には記憶があり、新しい環境に順応するには、
それらを捨て去る必要がある。しかし、それは恥なのだ。
そう考えているオーリアンは、しかし、取材対象であるラロシュの生き方に魅かれてゆく。
それまで情熱を注いできたものと決別し新しい対象に自身の情熱の全てを傾ける生き方に、、、
だからラロシュが情熱を傾ける幽霊ランを一目みてみたい。その情熱の源を確認したい。
しかし、オーリアンにとっては、それはただの花でしかなかった。
頭の中で考えていた花とは違っていたのだ。



オーリアンの書いた本に魅せられ、そのラストに共感し、
やがてはオーリアン自身をも好意的に感じるようになったチャーリー。
それは、チャーリー自身も自分の頭の中でだけで人生を考えてきたことに、
繋がっているように感じられる。
けれど、否定してきた弟は成功し、自身の生き方をロバート・マッキーに罵倒される。
原稿を仕上げるためにマッキーの助言に従い、弟に助けを求める。
そして、知ったこと。
オーリアンは自らの思いを隠して本を書いていたこと。
頭の中で考えていたオーリアンとは違っていたのだ。



オーリアンは果たして彼女が求めるものを見つけられたのか?
しかし、ラロシュとの恋愛に溺れて、そして悲劇的な結末を迎える。
一方、チャーリーは自身が求めるものを見つけ、素直に告白した。
その結末がどんなであろうとも、チャーリーは、きっと幸せになることだろう。
果たして、その違いはどこにあったのか?

恋に恋するようであったオーリアン。しかし、彼女が見つけたものには、
彼女が情熱を傾けることができるだけの価値が、彼女にとっては、なかったからなのかもしれない。
または、オーリアンが手に入れたものが、とても危険な物だからなのかも知れない。
しかし、それ以上に感じたこと。それは、

人を愛して、その結果、相手にあざけ笑われようが構わない。
愛することは、自分のもの。誰にも奪えない。
そして、あざけ笑うことも相手の自由。それも奪えない。
だから、愛されるより愛する方が自分にとっては大事なのだ。

情熱の為とはいえ、過去の名声や地位を捨て切れなかったオーリアン。
相手に彼氏が居ようとも、自分自身を変えて、告白をしたチャーリー。
この差が二人の運命を分けたように感じられてならない。

チャーリーが弟に告げた言葉、「ありがとう」の台詞。
その言葉は、弟が道を示してくれたことへの感謝の気持ち。
変化は偶然に起こったのかもしれない。
けれど、それに適応するのは意志の力なのだろう。

人生に起こった大きな変化。
それを受け入れて自身を変えてゆく。
現実世界へのアダプテーションを描いた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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