ペルシャ猫を誰も知らない  
2013.01.03.Thu / 17:10 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






反イスラム活動は禁止されているイラン。
取り締まる者たちからすれば、
若者たちの音楽活動は、すべて反イスラム、そして西洋化。
けれど、若者たちの音楽活動は雑多で様々だ。

自由を求めて国外に脱出する者。
イランに留まり、そこに住む人々に音楽を届けたいと志す者。
子供たちに音楽を教えて、それを喜びとする者。
政治思想を音楽に持ち込まないことを信条とする人や、
暗に政治思想を音楽に込める者。
牛小屋や地下室、工事現場と活動場所も様々。
音楽の種類も色々あり、そのどれもが美しい。

しかし、共通して言えるのは音楽を愛しているという事。
音楽の為ならば逮捕の危険も顧みない。
そして、嗜好する音楽が違えども、
お互いがお互いに快く協力をする。
音楽を愛する者同士の横の繋がりが構築されているのも、
興味深い。

表現方法は違えども、
彼らの音楽に対する愛情や自由への渇望が、
彼らの音楽から滲み出ている。

彼らの音楽に対する真摯な挑戦が印象深い映画。




反イスラム活動であるという理由で、
自由な音楽活動が規制されているイラン。
しかし、自分たちの音楽活動を行いたい。
そう考え、国外脱出と、
脱出前にコンサートを開こうと奔走する、ネガル、アシュカン、
そしてナデル。
ラスト付近の急展開と悲劇的な幕切れは、
イランの絶望的な状況を良く表現しているし、
切ない気持ちにもさせられるが、
唐突感も否めない。

けれど、この映画の魅力はストーリーにあるのではない。
この映画の魅力は、彼らの奏でる音楽。
規制という不自由さの中で、しかし、愛する音楽を、
逮捕の危険を顧みず、愛し演奏している人々の音楽なのだろう。


様々な場所で、様々な音楽を奏でる彼ら。
嗜好も違えば目指す音楽も違っている。
けれど、反イスラムという括りで規制をかけるイラン政府。
きっと、一つ一つの音楽をきちんと聞けば、
反イスラムや西洋化という一括りで規制する事が、
ナンセンスであることは容易にわかるはずだ。
しかし彼らが、その態度を改めることはないのだろう。
犬は不潔だから問答無用で持ち出し禁止。そんな態度にも十分表れている。
自国の文化を大切にしないという点においても、絶望的な状況だ。


しかし、そのような状況にあっても彼らの音楽への情熱は、いささかも衰えない。
むしろ不自由な状況が、彼らの情熱を煽る結果に繋がっている。
そして見ていて気持ちが良いのは、音楽を愛する者同士の連帯感。


最初は、どことなく怪しいと感じていたナデル。
しかしコンサートの許可が下りないと知った時、
さらなる資金を工面するために自身の愛車を売り払う。
愛車との別れ際に車体にキスをする姿に涙が誘われる。
そして、偽造パスポートの望みが絶たれたことを知った時の彼の絶望感。
ナデルはミュージシャンではない。
しかし、紛れも無く彼も、また、音楽を愛しているのだろう。

彼らの音楽に対する真摯な挑戦が印象深い映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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