シチリア!シチリア!  
2013.01.24.Thu / 18:34 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






貧しい家庭に生まれた少年が政治家を志す。
そんな男の一生を描いた映画かもしれない。
けれど強く印象に残るのは、
イタリア・シチリア地方に暮らす人々の快活さ。
貧しくとも、したたかに生き抜き、
厳しくとも、陽気に人生を謳歌する。
そんな人々の生きざまが印象的な映画。

そして、時代が移り変わろうとも、
変わらないもの、変わってほしくないもの、
けれど、変わってしまうもの。
そんな時代の流れも印象的な映画。



イタリア・シチリア地方に生まれた少年、ペッピーノ。
貧しくとも、貧しさに負けずに、たくましく生きている男の子。

この映画ではペッピーノの半生を描いている。
青年への成長、結婚、授かった子供たち、父親の死、
選挙への出馬と落選、子供たちの巣立ちと別れ。
しかし、この映画では、起承転結が明確には描かれてはいない。
どちらかといえば、転と結ばかりで構成されているように感じる。
どのシーンをとってもドラマチックで印象深く、
一つの映画の題材になるようなシーンが満載である。
けれど、唐突感が否めないようにも感じられる。
一応、この映画では、一人の少年を主人公にしてはいる。
ヤギに食べられた教科書や、靴を磨き続けて一瞬にして年を取る母親とか、
所々で話の流れに興味を抱かせる展開を用意はしている。
けれど、話の流れで何かを見せたいという狙いではなく、
シーン一つ一つにイタリア・シチリア地方に暮らす人々の生き様を、
描きたかったように感じられる。

独裁者を非難すれば投獄されてしまう。
しかし、捕まった後でさえ、陽気な批判精神を忘れない男たち。

戦争が終わり略奪を始める市民。
何に使うかわからないのに大きな扉を盗んだ男。
なんだか、とても滑稽でいて、彼ららしさを感じてしまう。

貧しくても、悲惨さ、必死さは感じられない。
何はなくとも、生きてはいける。
先のことはわからないが、
無一文であっても、映画で得られたヒントだけで
好きな人とともに生活を始める。
それは町全体が大きな家族のようだからなのだろう。

死に逝く父親を見守る人々。
あの世にいるであろう知人に伝言を託す。
それに応える父親、忘れそうだからメモを取れ。
死に逝く悲しみよりも、彼ららしい陽気さが感じられる。

巣立つ息子を駅で見送る父親。
平気なようでいて本当は寂しい。
陽気で快活であっても、別れはやはり寂しいのだろう。


貧しくても、厳しい政治状況であっても、戦時であっても、
陽気さ、快活さが溢れている。
きっと、未来は明るい。なんの根拠がないとしても。
そんな彼らのたくましさが印象深い。

映画の進行に従い流れる時間、時代。
人は年を取ろうが、町の風景、人々の営みは変わらない。
しかし、ペッピーノ少年が教室で目覚めてから見える景色。
町は大きな変化を遂げ、様々なものが慌ただしく動いている。
それは、あたかも、少年の事など眼中にないがごとく。
町全体が大きな家族であった、しかし、そんな一体感は失われてしまったかのごとく。
そして、それは、変わってほしくはないものが、
しかし、変わってしまったという悲哀。

映画の最後に描かれる不思議な光景。
失くして見つからなかったイヤリングを見つけることができた。
ペッピーノ少年とペッピーノの息子の少年時代の交差。
これは、とても不思議な光景。
それは、変わってほしくはないものが世代を超えて受け継がれることを
象徴していたように感じられる。

時代が移り変わろうとも、
変わらないもの、変わってほしくないもの、
けれど、変わってしまうもの。
そんな時代の流れも印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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