ホビット 思いがけない冒険  
2013.03.07.Thu / 21:39 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






お互いを知らなかった者同士が、
困難な旅を通じて、
掛け替えの無い仲間になってゆく。

前三部作と同じ世界観、似たような登場人物とテーマ。
けれど、違うところも当然ある。

前三部作は、人が持つ使命の物語。
それは、弱き自分自身と戦う、決意と覚悟が求められる旅。
しかし、今作品は、普通の人が持つであろう可能性の物語。
それは、仲間に対する友愛と良心が試される旅。

力も弱く、体も小さいホビット。
困難な旅では足手纏いとなるかもしれない存在。
けれど、彼は仲間にとって掛け替えのない存在となっていく。
それを支えたのは彼自身が持っていた精神的な強さ。
さまざまな障害にも変わることが無かった仲間への想い。
それが本物であることが証明された時、
彼らは真の旅の仲間となったのだろう。
そんな彼の誠実さが嬉しく感じられる映画。





出会いは最悪であった。
わけも分からず、突然押しかけるドワーフたち。
突然来たと思ったら、全ての食料を平らげて去ってゆく。
けれど不思議と彼らを憎めないビルボ。
彼らの陽気さ、そして、
最後にはきれいに皿を片付ける不思議な律儀さ。
だから憎みきれなかったのだろう。
出会いが最悪だった故に旅を共にするのには躊躇した。
過大な期待を掛けられても、自分には、それだけの力は無い。
帰ってこれる保証がない旅、自分を変えてしまうかもしれない旅。
けれど、彼らが去った後の空虚さ。
ビルボは、心の底では未知の世界への冒険を求めていたのだろう。
その旅に対して、心の底では興奮を覚えていたのだろう。

旅に出れば、やはり足手纏いとなってしまうビルボ。
一人で帰ろうとしても運命のいたずらで袂を分かつこともできなかった。
そして、ビルボの勇気が試される時が来た。

勇気は殺すときではなく人を助けるときに試される。
ドワーフの王、トーリンの絶体絶命の危機。
それを救ったのはビルボ。
この時、ドーリンとドワーフ達は理解したのだろう。
「君たちの故郷を取り戻す手伝いをしたい。」
ビルボの想いは本物であったことを。
ビルボに続いてオークに飛び掛ってゆくドワーフたち。
彼らの勇気に火をつけたのは間違いなくビルボなのだろう。


一つの指輪を巡って繰り広げられた、なぞなぞ合戦。
そして指輪は所有者をビルボに選んだ。
必死になって追いかけるスメアゴルを殺すことも出来た。
しかし、殺さなかったビルボ。
勇気は殺すときではなく人を助けるときに試される。
それは、殺す時ではなく見逃す時にも試されるのだろう。
未来においては災いの種にもなりそうなスメアゴル。
あの時殺しておけばよかった、と後悔するのかもしれない。
けれど、ビルボは自身の良心に従って無用な殺生を避けたのだろう。


ガンダルフがビルボを、この旅に誘った理由。
それは、この旅が怖かったから。
けれど、ビルボと居ると安心できるから。
人の心は移ろい易く簡単に恐怖や欲望に支配されてしまう。
だから、怒りに任せ争いを起こし、欲によって道を踏み外してしまう。
ガンダルフとはいえ、例外ではない。
けれど、もし、そのようなものに支配されない心を持つ者が傍にいれば、
それは心強い道しるべになるのだろう。
そして、自分自身の過ちに気付かせてくれるだろう。


この映画では、
個性が上手に描き分けられていないように感じられたドワーフたち。
かろうじて判るのは、王であるトーリン。年長者であろうバーリン。
弓を使う者とパチンコを武器にする者くらいであろうか。
けれど、いずれも陽気で気さくな雰囲気が伝わってくる。
そして、仲間思いの男たちであることも良く分かる。
ビルボとドワーフたちとの関係を描きたかった、ということであれば、
後から考えれば個別の描き分けよりは、
この映画の演出の狙いは、
ドワーフ達の一体感、そして
ドワーフとビルボの関係を表現したかったのではなかろうかと思える。

最後にはビルボを見直したトーリン。
この時、ビルボはドワーフたちにとって掛け替えのない仲間となったのだろう。
それはビルボが持つ、何事にも変わらない良心故なのだろう。
そんな彼の誠実さが嬉しく感じられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1070 / タイトル は行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
前にご覧になってたんですね。
危険な旅にとても向かないように思えるホビットだけど、
欲や悪に支配され難い心を持っている事で、
ガンダルフに選ばれたんですよね。
良心、正義感、誠実さ、勇気、これらがあれば
仲間として信頼できますね!

主人公としては印象の薄いキャラに思えたんですけど、
いい人というのは最終的に人の心を掴むものですね~
これからの活躍を見ていこうという気になりました。

2013.06.17.Mon / 17:18 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

この映画は映画館で見ました。
確かにLOTRに比べると若干薄味のような印象でしたが、
ドワーフの王を助ける為に一人で炎の中を歩く姿は、
けっこう印象深いものがありました。

それでも、まだ序盤って感じですよね。
これからが楽しみです。

それじゃ、また。

2013.06.18.Tue / 22:27 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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