月とキャベツ  
2013.03.21.Thu / 21:54 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






歌う事を止めたミュージシャン。
しかし、少女の魂に導かれ、
再び歌を取り戻す。

少女マンガのようなメルヘンチックな物語。
だからストーリーは簡単に読めてしまう。
けれど音楽と映画との奇跡的でとても幸せな出会い。
その出会いが深く心に残る映画。

たとえ得られなくとも、何かを強く求め続けること。
その想いの強さと純粋さ、切なさも深く心に残る映画。


数々の美しいシーン。
主演の二人の演技の新鮮さ。
しかし、それ以上に素晴らしく感じたのは、
鶴見辰吾さんが演じた理人の人柄。
彼の大人の優しさ、懐の深さも印象的な映画。




歌う事をやめてしまったミュージシャン、花火。
スランプなのか、歌うのが嫌になったのか、
理由は明示的には明かされていない。
けれど、彼が人を嫌いになり、
心を自分の内側にしか向けていないことに無関係とは思えない。
歌うことに疲れ、歌を期待する人を拒絶してしまう。
人を拒絶してしまうから、ますます歌を歌えなくなる。
多分そんな悪循環に陥ってしまったのであろう。
出会いはとても不思議だった。
けれど、花火はヒバナのダンスに、
どこか魅かれるところがあったのだろう。
いったんはヒバナを追い出してしまうが、
ヒバナが書いた自分の似顔絵を見て思い止まる。
きっと、そのムスッとした自分の似顔絵を見て、、
昔の自分は、こんな嫌な奴ではなかった、と思い直したのだろう。


一人では感じることがなかった生活の楽しみ、面白さ。
しかし、二人でなら感じられる。
そして、そんな生活の中で、
歌をつくり、歌うことができるようになった花火。
それは花火にとっての夏休みの終わり。
そして、それはヒバナにとっても、そうなのだろう。


できることなら、
できることなら、ずっと花火の傍に居てやって欲しい。
それは、きっとお願いではなくて理人の願望なのだろう。
そして、その願いは叶わないであろうということも理解していたはずだ。
さらに、その願いは花火の為だけではない。
ヒバナという少女を理解した理人の、ヒバナの為の願いでもあったのだろう。
けれど、ついに別れの日が来てしまう。


突然の喪失に悲嘆にくれてしまう花火。
けれど、それを救ったのは理人とヒバナの遺したノート。
その別れを経て、ついに完成する新曲。


山崎まさよしさんが歌う、One more time, One more chance.
このシーンが素晴らしい。
この曲も、そして、この映画も着想は別々だったそうだ。
しかし、お互いがお互いのために創られたような曲と映画。
これは、奇跡的で、とても幸せな出会い。

ダンスとファンタジー系の映画。それはとても難しい組み合わせだ。
うまくはまれば、とても感動的に仕上がっただろう。
けれど、それは難しい。
この映画でも、かなり頑張ってはいるが、
上手くはまったとは言いがたいように感じてしまった。
多分、人によって好き嫌いは分かれてしまうだろう。
それでも山崎さんの歌の素晴らしさが、すべてを帳消しにし、
それ以上の感動を与えてくれる。


私には花火の曲が永遠に残っている。
そして、最後には花火も同じ想いを感じただろう。

得られなくとも求めてしまう心。
その心が見慣れた日常を情緒豊かな風景へと変えてゆく。
そして求めてやまない心が美しい芸術を創り出してゆくのだろう。
その想いの強さと純粋さ、切なさが深く心に残る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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