レ・ミゼラブル  
2013.04.18.Thu / 21:33 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。







原作は未読です。
ミュージカルの舞台も見ていません。


生きることすら困難な時代。
しかし、どんなに過酷な状況下であっても、
明日のために人生を戦い抜いた人々。
奴隷になることを拒絶して。

奴隷とは身体の自由を奪われた人のことだけではない。
憎しみに心を支配された奴隷。
金欲に心を奪われた奴隷。
国や法に盲目的に従う奴隷。
彼らは、心の自由を奪われた奴隷たちだ。
そんな奴隷になることを拒絶して、
自身の心の自由を守り抜いた人々。

時に様々な葛藤が襲い道を迷った。
しかし道に迷うということは彼らが奴隷でない証。
苦しみながらも自らの良心に向き合い人生を戦い抜いた。
そんな人々の気高さが心に深く染みる映画。



2時間38分の長さといえども長い原作を映画にしたために、
端折らなければならなかったストーリーや、
描ききれない心情があるのかもしれない。
しかし、豪華俳優陣が魅せた圧倒的な歌唱力。
それらには圧倒される。
そんな彼らの見事な歌唱力も魅力的な映画。
一切れのパンを盗んだ、
それだけのために19年間投獄された男、ジャン・バルジャン。
仮釈放はされたものの、囚人であった彼に社会は冷たい。
憎しみに囚われ社会を恨むジャン・バルジャン。
しかし司祭が示してくれた人間の優しさ。
その優しさに、自らの行いを恥じ、社会を憎んでいたことを恥じて、
過去を捨て生まれ変わることを決める。
この時、初めてジャン・バルジャンは憎しみから開放され、
心の自由を得たのだろう。


ジャン・バルジャンを執拗に追いかけるジャベール。
なぜなら彼は法を犯したから。
法は絶対だと盲目的に信じているジャベール。
けれどジャン・バルジャンと交流し揺らいでしまったジャベールの信念。
私利私欲がない故に、ジャベールは単純な敵役には思えなかった。
最後にジャベールが自らの命を絶ったのは、
ジャン・バルジャンの生き方にジャベールの信念が負けただけだからではない。
ジャベールの良心が彼自身の信念に勝ったからでもあろう。
最後には良心に従って生きる道もあったかもしれない。
しかし、彼は死んでしまった。
盲目的に法や国家を信じて、心の自由を失った結果なのだろう。


まさに金の亡者という名に相応しい、テナルディエ夫妻。
人を騙して儲けることしか頭にない、金欲の奴隷。
しかし、あんなに情熱を傾けて金を騙し取っているのに、
彼らは一向に裕福にはなれない。
悪銭身につかず、ということなのだろう。


全編が、すべて見せ場と思えるくらいに、それぞれのシーンが素晴らしい。
特に人々の葛藤や苦悩が、それを謳い上げる楽曲と相まって十二分に伝わってくる。
無実の男を救うべきか、今の地位を取り周りの人々の暮らしを守るべきか、
その選択に苦悩するジャン・バルジャン。
過去の夢と今の現実に絶望するファンテーヌ。
愛する人を選ぶのか、共に戦う同志を選ぶのか、人生に迷うマリウス。
エポニーヌの片思いの切なさ、辛さ。
しかし愛する人を助け、その腕の中で死んでゆく、ささやかな幸せ。

最後には一人で死んでゆくことを選んだジャン・バルジャン。
しかし、彼は一人ではなかった。
自身の人生を賭けて愛情を注いだコゼットが傍らにいる。
そして、ファンテーヌが感謝の気持ちとともに迎えに来てくれた。
苦難や苦労の連続であったとしても、ジャン・バルジャンの人生は、
幸せなものだったのだろう。
自身の良心に向き合い、困難な道を選択したとしても、
人は幸せになれる、素晴らしい人生を送ることが出来る。
それを雄弁に物語るラスト。


民衆の歌。
劇中では革命の歌として歌われていた。
しかし、ラストでは人生賛歌の歌として歌われる。
奴隷になることを拒絶して、
苦しみながらも自らの良心に向き合い人生を戦い抜いた人々。
そんな彼らの気高さを歌いあげた歌。
そして、それぞれの明日のために、観ている者に我々の列に加わるように諭す歌。
そんな人々の気高さが心に深く染みる映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1082 / タイトル ら行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
ヤンさんとミュージカルってあまり結び付かないような
気がしたけれども、(ムーランルージュくらいしか記憶にない)
全編歌で構成された本作を楽しまれた様子ですね!
歌の力がとても活かされていた作品でした。

登場人物たちの、心の自由のために困難に立ち向かう力強い姿が
とても胸にしみました。
どの人も激動の人生で感動的でしたね。
本作で泣いた方が多いんですが、ヤンさんは泣けました?(^▽^;

2013.04.22.Mon / 17:37 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

そうですね、ミュージカルは苦手な分野ですが、
それでも、巷の評判がすこぶる良いので、見てまいりました。

激動的な人生でも希望を失わなず戦い抜く人々の気高さには
感動しました。
ジャンバルジャンの最後には泣けましたが、
哀しさというよりは、嬉しさ、尊いものに対する感動、
って気持ちでした。
見返すには気力が要りそうですが、
とても良い映画でした。

それじゃ、また。

2013.04.23.Tue / 22:49 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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人を愛し、夢を失わず、困難に立ち向かう。 圧倒的な歌声に迫力ある映像で、感動の涙~☆ LES MISERABLES 監督:トム・フーパー 製作:2012年 イギリス 原作:ヴィクトル・
2013.04.22.Mon .No553 / RockingChairで映画鑑賞 / PAGE TOP△

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