グッド・シェパード  
2013.05.30.Thu / 20:19 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






グッド・シェパード。
それは、良き羊飼い。
良き羊飼いの如く、国に忠誠を誓い、国に尽くし、
しかし、自分以外の人間を疑い、
信じることができる人もおらず、
幸せな家庭と人生を送ることができなかった男。
そんな男の悲劇を描いた映画なのかもしれない。

しかし、この男の人生から感じるのは、
彼が別な人生を選択していたら、ということ。
人生に、れば、や、たら、は禁句なのかもしれない。
それでも、彼の人生には、れば、や、たら、を考えずにはいられない。
それは、きっと、彼が人生を選択する時は、
常に、本音よりは義務や任務を選んだからであろう。
義務というよりは、自身のあるべき姿、
といった方が合っているように思える。
その、あるべき姿は、エリートのグループに属したからこそ、
醸造されたようにも感じられた。

悲劇的な出来事が沢山あったにもかかわらず、
しかし、彼の人生はドラマチックには感じられない。
この映画の語り口も相まって、淡々と感じられる。
それは、ただ静かにゆっくりと朽ちてゆく人生。

エリート意識に縛られ人生の選択を見誤った男の哀れさ。
その哀れさが深く心に残る映画。




国に忠誠を誓い諜報活動を続ける男、エドワード。
しかし、彼の私生活は、とても悲惨だ。

愛する人とは結ばれず、妻とは別居し、家族は崩壊し、
息子の花嫁を、まだお腹の中にいる孫ともども、
始末しなければならなかった。
しかし、それでも、それは、エドワードが選択した人生。
父親の死の理由を偽らなければ、、、
父親の遺言を、その時に読んでいれば、、
そして、それに従っていれば、、
自分に言い寄るクローバーに自分には恋人がいることを告げていれば、、、
クローバーとの結婚を断っていれば、、
海外赴任しなければならない仕事を断っていれば、、
教授の助言に従って、この仕事を止めていたならば、、、

突然、真夜中に目覚めた息子。
息子が、もう少し傍にいて欲しいと懇願したにもかかわらず、
エドワードは仕事の電話の為に、それを無視した。
もし、この時、家族を優先させていれば、
息子の人生の不安も取り除けていたのかもしれない。
そして上陸作戦の場所も漏れずに済んだのかもしれない。


エドワードが人生を選択した時の基準。
それは、彼の心にある、彼自身がそうあらねばならない姿、
によってなのだろう。

父親の弱さを認めたくない。強くあらねばならない。
妊娠させたという責任を負わなければならない。
昼夜を問わず任務を遂行し、国の利益を守らなければならない。
それが、自身のあるべき姿、なのだろう。

そのあるべき姿は、最初からエドワードの心にあったのかもしれない。
けれど、それを醸造したのは、
彼が属したエリート集団、
スカル・アンド・ボーンズのように感じられる。


ただ静かにゆっくりと朽ちてゆく人生。
エリート意識に縛られ人生の選択を見誤った男の哀れさ。
その哀れさが深く心に残る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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