コンテイジョン  
2013.07.25.Thu / 20:59 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






娯楽性を極力排して、パンデミックをリアルに描いた映画。
だからこそ、人々のリアルな心情と行動が焙り出される。

家族を守るだけが精一杯の男。
命懸けで感染拡大を阻止しようとした女医。
愛する人を助ける為に情報を漏洩した責任者。
ネットでカリスマとして扱われ、デマを流したジャーナリスト。
それを信じて踊らされてしまった人々。
身を挺してワクチンの臨床実験をした女医。
ワクチンを入手する為の人質になってしまった女性。
そして人質を取ってまで隣人を助けようとした現地職員。

何が正しくて、何が間違っているのか。
それは誰にもわからない。
しかし、この映画は明日にでも起こることを描いている。
その時、自分なら、どう判断し、なにをするだろうか?

何も出来ない人というものの小さな存在。無力さ。
しかし、何も出来ないかもしれないが、
自身の出来ることをやろうとする人の偉大さ。

娯楽性を極力排して、パンデミックをリアルに描いた映画。
だから、とても地味に感じられる。
しかし、かえって、そこが恐ろしく感じる。

人間のあまりにも無防備な様、
そして、その日に人は何が出来き、何をしてしまうのか?
そんな恐ろしさを感じた映画。




今の世界は、様々なものがとても早く動く。
それは、情報であったり、ウィルスであったり。
良いことが急激に拡散してゆく、そして、悪いことも。
香港で発生した新型ウィルス。
三日目では、すでにアメリカ、イギリスに広がり、
数日のうちに全世界に蔓延してゆく。
一昔前には考えられなかった速度だ。

そのウィルス拡大を防止しワクチンを開発しようとした人々。
彼らの行動も迅速だ。最初の被害者が発生した時点で、
すでに様々な情報を集め、ウィルスの培養に挑戦し、対抗しようとしている。
これも、一昔前には考えられなかった速度だ。


パンデミックを前に、しかし、そこにヒーローは存在しない。
家族を守るだけが精一杯の男。
果敢に最前線に飛び出し、拡散防止を試みた女医も、無念のうちに死んでゆく。
ウィルスの発生元を調査する為に派遣された女医もまた、
最初の患者にはたどり付けても、そこから前には進めない。
そして、自身が人質となり村に届けられたワクチンが偽物と知った時、
行動せずには居られなかったのだろう。しかし、彼女に出来ることは、なにもない。


本来であれば許されない場所でのウィルスの培養。
しかし、それをあえて行った男。
誰かにお願いされたわけではない。
そして、なんの見返りも求めず、情報を提供する。
その情報を元にワクチンを開発した女医。
自らの危険を省みず、自身を使っての臨床試験。
ただ、皆を救いたい。特に目の前に居る父親を、、、
父親を救うことはできなかった。人が出来ることは限られている。
しかし、限られたことでも精一杯やることが、未来を切り開いていくのだろう。


許されない場所でウィルスの培養実験をした男。
身内にだけ情報を漏洩した責任者。
誰にも許可を得ず自らの体で臨床実験を敢行した女医。
このあたりの行動は正しかったのか、不正なことなのか。
極限の状況だからこそ、その判断は難しい。
緊急事態であれば何をよりどころに行動すればいいのか?
それはきっと、自身の良心なのだろう。
緊急事態や極限の状況とは、自らが試される時なのかもしれない。


ネットで情報を拡散し信者達を得たジャーナリスト。
偽の情報を流し、人々を惑わせ、巨額の金を得る。
彼は最初から、このような機会を狙っていたようにも見えるし、
ネットで騒がれ、多くの信者が発生したからこそ、
舞い上がって嘘をつき始めた様にも見える。

デマを流すこと自身は、明らかに悪だ。
しかし、法では彼を裁ききれなかったという非情な現実。
彼の為に多くの人が死んでいったに違いないにもかかわらず、、、

そして、何を信じて、何を疑えばいいのか、、、
極限の状況だからこそ、その判断は難しい。
緊急事態であれば何をよりどころに判断すればいいのか?
それもきっと、自身の良心なのだろう。
緊急事態や極限の状況とは、自らが試される時なのかもしれない。


最後に明かされる感染源。
未開の地を開拓することの恐ろしさ。
自然を荒らした人類に、自然が牙をむいた、とも思える。
けれど、一方で、何気ない偶然が多くの人々を死に至らしめるという事実に、
恐ろしくもなる。
そして、それは明日にでも起こるかもしれないという現実に。


顔を触る、扉に手を触れる、コップを持つ。
何気ない動作で広がってゆくウィルス。
しかし、改める事は難しい。何も触らないで行動するのは不可能だ。
手を洗うというのが唯一の、そして、不完全な予防であるのならば、
人間はあまりに無防備なのだろう。
それは、パニックに対しても、悪意ある情報に対しても。
そんな恐ろしさを感じた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1111 / タイトル か行 /  comments(2)  /  trackbacks(2) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
パンデミックをリアルに描いていて、
すぐにでも身近で起こりそうな所が恐かったけど、
映画的には地味で、当たり前過ぎる内容だったなあ~って
そんな印象です。

でも、この映画を観てから、
外出先のスーパーや病院でも、
消毒液で手を除菌するの、続けてますよ(^▽^;)

2013.07.29.Mon / 17:23 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

当たり前のことを描いているにもかかわらず、
それでも見せ方はとても上手に感じました。
豪華な俳優人を上手に使いこなしている、
ってところでしょうか。

おお、手洗いは欠かさず、ですか。流石ですね。
この映画をみて怖いと十分に感じたのに、
のど元過ぎれば熱さ忘れる、ってところでした。反省。

それじゃ、また。

2013.08.03.Sat / 17:30 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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タイトルの「コンテイジョン(CONTAGION)」は「接触感染」という意味らしい
2013.07.28.Sun .No577 / はらやんの映画徒然草 / PAGE TOP△
そこにあるリアルな恐怖。 自分の無防備さにハッとした。 CONTAGION 監督:スティーヴン・ソダーバーグ 製作:2011年 アメリカ 出演:*マット・デイモン *グウィネス・
2013.07.29.Mon .No578 / RockingChairで映画鑑賞 / PAGE TOP△

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