2013.08.15.Thu / 17:37
「ネタバレ」あり。ご注意願います。
理想を胸に政治の世界で働いていた青年。
しかし、、、
スーパー・チューズデー。
彼にとってその日は、
自分には本当の友達がいないことを知った日。
政治の世界に生き残るために、
自らの理想、心情、生き方を捨ててしまった日。
最後に問われる選挙に勝つ秘訣。
しかし、それには答えない青年。
理想を語るよりは、票を集めることが選挙に勝つ秘訣。
そのためには清い志しよりは謀略で相手を貶めること。
現実に直面し自らの生き方を変えてしまった青年。
彼の挫折を描いた映画。
この映画の副題は、正義を売った日。
けれど、正義というよりは生き方の問題であり、
実際には犯罪を犯したという印象はない。
(エヴァン・レイチェル・ウッドさん演じるモリーが
口封じのために他殺されたのであるなら、犯罪ではあるが。)
どちらかといえば、政治的な駆け引きが面白く感じられた映画であり、
理想を貫くことができない政治の世界の皮肉を感じた映画であった。
だから、この副題には違和感を感じてしまう。
脇を固めるキャストが実に素晴らしい。
フィリップ・シーモア・ホフマンの実直さ。
いかにも怪しげなポール・ジアマッティ。
笑顔でしかし得ダネを狙うマリサ・トメイの小悪魔的な抜け目なさ。
政治家特有の嫌らしさを醸し出すジェフリー・ライト。
彼ら俳優人も魅力的な映画。
政治の世界に理想を抱えて働いている、スティーヴン。
モリス知事に心酔し、彼が世界を変えてくれると純粋に信じている男。
対立候補の選挙参謀に会って欲しいと言われた、スティーヴン。
会いに行ってしまうこと自身はとても軽率すぎ。
そして報告するタイミングも遅すぎる。
少しのミスが身を滅ぼす、そんなことが分ってるはずなのに、
このあたりの展開は、ちょっと安直に感じてしまう。
しかし、その後の急展開は面白い。
モリス知事が、やはり普通の男であったことを知り、
そして、汚い駆け引きによる罠にハマったことを知ったスティーヴン。
であるならば、政治の世界から身を引くような選択を取るようにも感じたのだが、
彼が選択したのは復讐。このあたりの心情はわかりにくく感じる。
最後に、それまでの恩師であり上司であったポールを蹴落とし、
自らが、ポールの地位に就いたスティーヴン。
彼の目的がなんであったのかも、よくわからない。
理想を語るよりは、票を集めることが選挙に勝つ秘訣。
しかし、それ以上に選挙における虚々実々の駆け引きが、
サスペンス映画のように面白く感じられた映画。
正義を売った、というのは大げさすぎるようにも感じられる。
そのあたりが少し残念な映画。