ペタル ダンス  
2013.08.29.Thu / 18:14 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人が人を救うのは難しい。

直接な原因を取り除く事が出来るのはとても稀。
心を軽くしてあげたくても、
どんな言葉を掛けていいのかすら見当がつかない。
相手が何に苦しんでいるのかさえ正確には実感できない。
それは相手がやはり他人だから。
わかりあえるのは難しいから。
苦しい本音を隠してしまい、言葉すら発しないから。

有効な解決方法を見付けるのは難しい。
完璧な回答は存在しないのかもしれない。
それでも祈りだけは通じるのだろう。
笑顔でいて。
元気で生きていて。
少しも解決にはならないであろう、そんな祈りでも、
相手には多くをあげる事が出来るのだ。

人が人を救いたい。
その難しさと簡単さが心に染みる映画。





「端折ったね。」
自分を理解してもらうのに言葉は重要だ。
けれど、言葉にするのは難しい。
照れや恥ずかしさ、戸惑い。誤解されることへの恐れ。
なかなか言葉にするのには勇気が必要だ。
ミキの気持ちがなんとなくわかると言った素子の元夫。
しかし、素子はそれを否定する。
なんとなく相手の気持ちがわかる、というのは幻想かもしれない。
同じ経験をしても、同じ境遇でいても、
感じることや考えることは違うのだ。


「いつからやろ、さよならを言われへんようになったのは。」
店長がさよならを言わなかったのには様々な理由があるのだろう。
自身のことで無用な心配を掛けたくないというのも理由の一つかもしれない。
しかし、さよならを告げられることも無く残されてしまった二人。
なんだか、とても寂しくて、
心の穴を埋めるのに、マネキンという思い出が必要だったのだろう。

同じく理由を告げず消えてしまった原木さんの友達。
告げなかった理由はわからない。
原木さんに対する気遣いなのかもしれない。
しかし、それでも、
告げずに居なくなってしまったことはとても寂しくて、
後悔の痛みが心の中に、いつまでも燻ぶり続ける。


もしミキが自らを傷つけていたのだとしたら。
果たしてミキに何をして、あげられるのだろうか?
最初に会った時、何を言えばいいのか?
そんなことを考えて始めると途方にくれる。

それでも行動を起こした三人。
けれど、ミキからの最初の一言は、「なんで?」
多分、ミキは自分が他人から見捨てられた、
一人ぼっちの存在だと思い込んできたのだろう。
六年という長い空白がミキに戸惑いを与えてしまったのだろう。
ならば、三人の訪問は無駄だったのだろうか?

共に海を見に行く。そして時間を共有する。
意味が無い会話。そして無言の時間。
何をするわけではない。ぼーっと同じ風景を眺める。
けれど、それらが空白の六年間を僅かずつではあるが埋めていく。

何かが解決したわけでもなければ、
何かが変わったわけでもない。
けれどミキの心は四人で過ごした時間により、
わずかかもしれないが軽くなったのだろう。
何も出来なかった三人、しかし祈りは、
ミキの心に多くのものを残すことが出来たのだろう。


人を救うのは難しい。
あれこれ頭の中でごちゃごちゃ考え始めるとキリがない。
けれど実は簡単なのだ。
笑顔でいて。
元気で生きていて。
そう祈れば、その祈りはきっと届くであろうから。

最後には言葉で、自らの思いを告げた三人。
ここに、やっと六年間の空白は埋まったのだろう。


なんとなく天然で空気が読めない女性に見えたジンコさん。
しかし、なんだかとても自然で大きな心の持ち主に見えてくる。
最後には皆がここにたどり着けることを最初から知っていたような、
そんな強さと落ち着きさえ感じさせる。
彼女が居たからこそ、皆がここに到着できたのかもしれない。
頭でごちゃごちゃ考えるよりは、まずは想いや祈りなのであろう。

原木さんの最後の台詞は、
理由も告げずに居なくなってしまった友達に対しての祈りだ。
しかし、製作者サイドから観客に対する祈りのようにも感じられる。
このシーンからだけではないが、この映画はとても優しい。
道に迷っていても、いつかは目指したゴールにたどり着くことができる、
そんな優しさを感じさせてくれる。

人が人を救いたい。
その難しさと簡単さが心に染みる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1120 / タイトル は行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.