コズモポリス  
2013.09.05.Thu / 15:17 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






リムジンの中から世界が全て把握出来ると思っていた男。
しかし、彼の心から消ない不安。
事実として、
彼の予想を裏切り失ってしまった巨額の財産。
判明した非対称な前立腺。
思いがけないテロ。
知らなかったシンガーの死。
自らが命を狙われる理由さえ判らない。

全てを把握し人々の営みさえも支配していたと思い込んでいた。
けれど今まで知らなかった事。
把握出来ない世界の動向。
結婚相手の事さえ何も理解出来ていない。
なぜなら世界は彼が思うほどに理論的ではなく、
気まぐれで雑多で対照的ですらないから。

不安を振り払うことができず、
多くを求め、理由を知りたがった男。
しかし答えは存在しない。
ただ存在しないことを受け入れるしかない。

そんな男の心の放浪に、
底知しれない不気味さと虚しさを感じた映画




世界の動きを正確に読み、
それによって巨額の財産を手に入れた男、エリック・パッカー。
しかし、自身の財産は成す統べなく消え去ろうとしている。
世界の総てを把握していると思っていた。
チャートを読めば統べての動きは予測可能と考えていた。
しかし、現実は違っていた。
リムジンの中からでは分らないことが世界には存在したのだ。
だから不安になる。
なぜなら、今まで信じてきたことが信じられなくなったから。


自身が今まで築いてきたもの、完璧だと信じてきたもの。
けれど、それは完璧ではなかった。
しかし、何度入念にチャックさせても不備は見つからない。

自分が今まで信じてきたことは、単なる憶測や推測。
それは、すなわち起こった事に対する他人の意味の解釈にすぎないのでは、、

リムジンに乗り込んでくる多くの人々。
会話のたびにパッカーは、訪ねる。他に無いのか、そして、その意味は?
けれど、誰も明確には答えられない。
非対称な前立腺とは、一体何を意味しているのだろう?
そして、なぜ自分は命を狙われているのだろうか?

巨額の富を持っているにも関わらず、さらに得ようとしていた自分。
それは、富を得ること自身が、いつの間にか目的になってしまっていたということ。
具体的な目的も目標も将来も考えなかった。
成功を重ねているうちは考えなくてもよかった。
しかし、今は考えざるを得ない。
自分は一体どこに行くのか。

心の故郷ともいうべき床屋を目指すのは、
総てを捨てて最初からやり直そうとした為か?
それとも、求めた答えが見つかると感じたからなのか?
または、信じられるものが世界には無いことが判った故に逃げ出そうとしたためか?
しかし、そのいずれをも達成することは出来なかったようだ。


最後に自分の命を狙う男と対峙するパッカー。
そして判る。
世界は理論だけで動いているわけではない。
だから、時として気まぐれで、美しく整っているわけではない。
意味を問い求めても必ずしも得られるわけではない。
ただ、ありのままを受け入れるしかない。
ありのままを受け入れる以外にパッカーの不安を解消する術はない。


不安を振り払うことができず、
多くを求め、理由を知りたがった男。
そんな男の心の放浪に、
底知しれない不気味さと虚しさを感じた映画
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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