のぼうの城  
2013.09.26.Thu / 16:20 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人が持つ誠実さを信じる、信じたい。
共に似たような信条を抱える男二人。
忍城にて敵味方に判れて対峙する。

似たように見える二人。
けれど、違う点も多いにある。
方や理想に捕らわれ視野を狭めてしまった男。
方や人々を心から信じ、総てを任そうとした男。

鑑賞前は、のぼうと呼ばれた男が、実は知恵者で、
知略を発揮して戦を勝利に導く映画かと思っていた。
しかし、戦場で対峙した二人の男。
その差異が印象に残った映画。



信義を重んじ、人の誠実さを信じたいと考えている男、石田三成。
彼は、青臭いまでの正義を振りかざす武将。
簡単に降伏する敵を嫌い、
この世界に誠実さや正義は無いのかと嘆く男。
他人の弱さを理解せず、自らが持つ強さを強要する男なのだろう。
だから彼を好きになる武将も居れば、
逆に、その青臭さや杓子定規な考えを嫌う武将も居る。
日々を農民と過ごす男、成田長親。
無能故に、のぼうと呼ばれ、しかし、それを受け入れている武将。
馬鹿だから、自分を良く知るから、それだけで、
のぼうと呼ばれることを受け入れているわけではないのだろう。
農民たちがそう呼ぶから、回りの人にそう見えるのであれば、
それが自然の成り行きなのだから、
だから受け入れているのだろう。


二人ともに人を信じたい、信じる事ができると考えている。
しかし、違う点も多々ある。


父親が死に、民衆の前で泣き始める長親。
これは計算高い策略のようにも見えるが、
しかし、本音をさらけ出す長親の普段の姿勢のようにも見える。
本心を包み隠さないことが人の信頼を得ることに繋がると
考えたから、なのだろう。

最初の戦闘では何もしなかった長親。
戦をしたいと考えていた皆を信じたからなのだろう。
逆に初戦で負けてしまった三成は水攻めを行うことを決める。
理想や、あるべき姿に固執した結果、視野が狭くなり、
周りの武将たちの気持ちも見えなくなったからであろう。


水攻めは成功しないと考える長親。
それは百姓たちを信じていたから。
そして言葉通りに水攻めは失敗に終わる。


北条が降伏し生き延びることが出来た長親たち。

ラストで下った農民を殺害した武将を処罰して欲しい、
という長親の願いに同意し快諾した三成。
この辺りにも二人は似ているようにも感じられるが、
大きな違いは、長親は百姓たちが好きだからであり、
三成は、理想論として、罰せられるべきであると信じている、
という点であろう。


長親は、なぜ戦を始めたのか?
それは、きっと、甲斐姫を、
人を人とも思わない輩に渡したくはないと考えたからであろう。
このまま渡せば幸せにはなれない、と感じたからであろう。
戦をして相手に自分たちを見直させた長親。
けれど最後には甲斐姫を差し出すことを承知する。
今ならば甲斐姫は幸せにしてもらえると感じたからなのだろう。


戦に負けた三成は、しかし、
とてもさわやかな気持ちになっているように感じられる。
それは、彼の理想を忍城で見つけることが出来たから。
自分には戦の才が無いことが分った三成。
けれど、長親にはあって自分には無いものには気付くことができなかった。
たとえ、禄の半分を使い島左近を召抱えても、
この点に気付くことが出来なかったが故に関が原で負けたのだろう。


戦場で対峙した二人の男。
方や理想に捕らわれ視野を狭めてしまった男。
方や人々を心から信じ、総てを任そうとした男。
その差異が印象に残った映画。


* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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