言の葉の庭  
2013.10.17.Thu / 22:15 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






靴職人に成りたい。
もう一度教壇に戻りたい。
そして、年の離れた好きな人。

それらは、叶いそうにもない願い。
常識で考えれば諦めたほうが無難な望み。
だから戸惑う、焦る、前に足を踏み出せないでいる。
なぜなら現実は厳しくて世界は残酷だから。

しかし、彼らは前に進むだけの力を持っている。
今は、ただの準備期間。
甘くて優しくて、とても幸せな時間なのだけれど、
いつかは、旅立たなければならない。

傷つき臆病になってしまった心に優しく響く映画。



新海誠さんの描くアニメーションは、どの作品においても美しい。
特に今回は水の描写がすばらしい。
川の流れ、窓を流れ落ちる水滴、水溜りが写す風景。
実写以上に美しく見える。
これはアニメーションの限界を極めたのではないか、、、
そう感じるほどに美しい。
いつもながらの美しさが堪能できる映画。




靴職人を目指す、タカオ。
でも、靴職人なんて、本当になれるのだろうか?
そんな不安と焦りで、
高校に居ても違う世界に生きているような高校生。
言われ無き中傷で傷ついた女性、ユキノ。
学校に行こうとした、けれど行けなくなってしまった教師。
再び教壇に立ちたいと願っても、
心に負った傷の深さと、経験してしまった世間の冷たさが、
彼女を教壇から遠ざけてしまう。
中傷よりも、誰にも理解されず、誰にも助けてもらえなかったという冷たい現実が、
ユキノをここまでに追い詰めてしまったように思えてならない。


二人ともに未来に踏み出せないでいる。
だから、二人でいる公園が居心地が良い。
けれど、時は流れて旅立たなければならない時がやってくる。


自分の不安と焦りをユキノにぶつけたタカオ。
離れている年齢。そして、相手は教師。
靴職人なんて適いそうにもない夢。
なんで、そう、はっきりと言ってくれなかったのか。
だが、同じ想いを抱えていたユキノ。
本当は学校に行こうとしていた。
けれど行くことができなくなってしまった。


儚くも失われていく青年の夢。
それは、新海誠さんの描く映画で良く描かれるテーマ。
この映画でも途中までは同様だ。
しかし、いつもとは違うラスト。

ユキノは教壇に戻ることができた。
そして、靴職人を目指すタカノ。
何度も失敗し高価な皮を犠牲にし、
しかし、着実に夢にむかって歩んでいく。
そして、自分に自身が持てた時、再びタカノはユキノに会いに行くのだろう。
その先に何が待っているかは分からない。
けれど、ハッピーエンドが十分に予感できるラスト。


焦り、不安、戸惑い。
傷ついて前に進めなくなってしまった。
けれど、それらを乗り越えて夢に向かって歩いていく。
それは、新海監督が描いていた、いつもとは違うラスト。
傷つき臆病になってしまった心に優しく響く映画。


* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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