テルマエ・ロマエ  
2013.11.07.Thu / 19:40 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






原作は未読です。


異文化に触れたローマ人。
最初は属州として蔑んでいた。その文化を奪っても良いと考えていた。
しかし、その進んだ文化に衝撃を受け、落ち込み、
最後には、尊敬にも近い気持ちで、
感謝の想いを胸に抱くまでになる。
その感謝の気持ちは、
我々日本人が日頃は意識していないだろう日本の良さによって、
もたらされたのであろう。

自分らしく生きるということ。
自分が納得できる仕事をするということ。
自らの力の無さに無力感を味わい、
しかし、最後には自らが目指す目標のために、
あがいて生きていこうと決める。
たとえ模倣であっても、
実際に起こったことを真似たとしても、
それは大きな第一歩なのだろう。
そうして文化というものは形成されていくのかもしれない。


原作の設定を上手に生かした映画。
その面白さを十分に把握して、演じた阿部さん。
その、阿部さんの、どこかとぼけたような生真面目な演技が、
とても面白く感じられる映画。




ローマの風呂を設計する技術者、ルシウス。
昨今の騒がしいだけのテルマエを快く思わず、
斬新なアイデアを求める男。
そして、求めた末に現代の日本の風呂にたどり着く。
最初は属州と日本人を軽んじていた。
しかし、目のあたりにする日本の風呂文化。
それらに圧倒的な敗北感を感じてしまうルシウス。


武力で圧倒するのではなく文化による支配を。
それには優れたテルマエが必要だ。
その考えに賛同し皇帝の為にテルマエを設計するルシウス。
恥やプライドは捨てて日本の風呂に答えを求める。
それは確かに模倣なのかもしれない。
けれど、肝心なのは、優れたものを見分けることができる確かな眼と、
良いものを取り入れたいと願う純粋な技術者の情熱なのだろう。


ルシウスが日本の風呂を見て、感動し考察する様がとても可笑しい。
その面白さを引き出しているのは、ルシウスを演じる阿部さん。
その生真面目さ、大げさ加減が絶妙。


生きていく上では、嫌な事も受け入れなければならない。
そう考え、気の進まない見合いを受け入れた真実。
しかし、ローマにタイムスリップすることで人生が変わっていく。


あの人の為にはテルマエを作ることはできない。
なぜなら、彼はテルマエの本質を理解していないから。
そして、現皇帝を救いたい。
なぜなら、彼こそがローマの未来をたくせる皇帝と思えるから。
しかし、湯治場を作るには人手が必要。
そこに現れる、平たい顔族の面々。
日本人の勤勉さ、団結力、献身で湯治場を建設してゆく。
それらも見失いがちな日本人の美徳なのだろう。


目指すものは容易ではなかった。
だから道に迷い、挫折し、敗北感を味わい、
けれどあきらめ切れず、あがき続けるという道を選ぶ。
それが生きるということなのかもしれない。
そんな真面目な映画とも思えなかったが、そんな主張も垣間見える。

でも、最後には反乱を起こした属州の人々も風呂に入ってローマと仲直り、
なんていう展開になれば、もっと面白かったかもしれない。



普段は見失いがちなこと。
しかし、視点を変えると、その良さが再認識させられる。
それが、恥ずかしいような、嬉しいような、なんとも言えない心地よさを感じてしまう。
それを演出したのは、阿部さんの演技力。
阿部さんの、どこかとぼけたような生真面目な演技が、
とても面白く感じられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1139 / タイトル た行 /  comments(2)  /  trackbacks(2) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

濃い顔の日本人を古代ローマ人としてキャスティングしたのは、
漫画っぽい飛んだ発想で良かったです。

阿部さんが、日本のお風呂やトイレを見て感動し、
一つ一つ真面目に大げさに考察する姿も面白かった~!
こちらも、日本文化の良さに改めて気付いて、
誇らしく思えてきましたね~
終始 笑って楽しめた作品でした。

2013.11.08.Fri / 17:10 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

ローマ人というには無理がありそうで、
でも、違和感は感じない配役でしたね。
もともとマンガなんだけど、
作り手のノリも、そんな感じに見えました。

阿部さんの大げさ加減、真面目さ加減が絶妙で、
イチイチウンチクをたれては考察する姿が、
とても面白かったでした。

最後、属州も含めてお風呂で幸せ、
ってなればもっと幸せに笑える映画になったと思いました。

それじゃ、また。

2013.11.10.Sun / 21:51 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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いやいや、古代ローマ人には見えないよ~(≧ε≦) その嘘臭さに全くひるむことなく堂々と演じるほどに、 笑えてくる~~(≧▽≦)ノ☆ 楽しい~~★ 監督:武内英樹 製作:2012年 日本 原作:ヤマザキマリ 出演:*阿部寛 *上戸彩 *市村正親 *北村一輝 *宍戸開 *武内力 *笹野高史 *勝矢 ひとっ風呂、タイムスリップしませんか。 濃い顔の俳優さん達、上手...
2013.11.08.Fri .No597 / RockingChairで映画鑑賞 / PAGE TOP△
日本の風呂文化というのは世界の中でも類いまれなものだと思います。 江戸時代から銭
2014.11.02.Sun .No641 / はらやんの映画徒然草 / PAGE TOP△

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