クロワッサンで朝食を  
2013.11.07.Thu / 19:45 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






過去に様々な自由恋愛を経験してきた女性。
さばさばと過去を語る様からは、
後悔や罪の意識は感じられない。
むしろ、今の自分を形成してきた自身の人生に、
誇りすら感じているようにも見える。
それでも、心の底では謝りたいとも考えているのだろう。
しかし、素直に離れない。
だから、孤独なのだろう。

母親に死なれた女性。
だから目の前の女性には死んで欲しくはない。
そして憧れのパリが彼女を磨き輝かせていく。

その人物を造形するもの。
それは、強い愛情、憧れ、こだわり、誇り。
それらが、その人物の生き方を決めてゆく。
その強さが印象に残る映画。


フリーダを演じたジャンヌ・モローさんの圧倒的な存在感。
アンヌを演じたライネ・マギさんの凛とした美しさ。
それらを上手に引き出した監督の画の構成力。
それらも堪能できる映画。




元夫は最低な男で母親は痴呆症。
母親を愛していても、その死を願ってしまう。
そんな閉塞感溢れる生活を強いられている女性、アンヌ。
母親のいびきを水の流れる音で誤魔化し、
しかし、ちょうどその時に母親は死んでしまう。
それは、とても痛々しく感じられるシーン。

母親の死が転機となり憧れのパリでの生活が始まる。
恐る恐るパリの夜を散歩するアンヌ。
その姿が、とても微笑ましい。
パリの高級住宅で一人寂しく暮らす、フリーダ。
アンヌの雇い主で、とても気の強い女性。


最初はアンヌに強く当たるフリーダ。
同じエストニア出身者ということも原因だったようにも感じられる。
けれど、パリを愛する気持ちとパリによって変わっていくアンヌを見て、
フリーダは親近感を覚え始めたのだろう。
遠い昔の自分を今のアンヌに見出したのかもしれない。


パリの街で美しく変わっていくアンヌ。
けれど、徐々に知ることになるフリーダの過去。

自分は何も間違ったことはしてきてはいない。
パリに住み、パリを愛し、パリで生き抜いたフリーダ。
パリへの強い愛情と自身に対する強いプライドは無関係ではない。
そしてフリーダは、とても強い女性。
だから、寂しさを感じても故郷や同胞と別れ、
パリに住む者として、その生き方を全うしようとしたのだろう。
けれど、心の底では寂しさを感じ、
死んだ後は母親の墓の隣に埋葬して欲しいと考えているのだろう。


フリーダの為に過去の友人を招待したアンヌ。
しかし、それはまったくの逆効果だった。
思わずアンヌを責めるフリーダ。
そして家を飛び出してしまうアンヌ。

夜のパリをさ迷うアンヌは、きっとこの街で暮らしたいと考えたのだろう。
飛行機を乗り過ごしたのも、そのためだろうし、
ホテルに泊まらず街をさ迷ったのも、そのためだろう。
フリーダに未練があったというのもあるのだろうが、
パリで生きたいと考えたからだろう。


その人物を造形するもの。
それは、強い愛情、憧れ、こだわり、誇り。
それらが、その人物の生き方を決めてゆく。
その強さが印象に残る映画。



そして、、、

最後にはフリーダの元に戻るアンヌ。
何も言わず招き入れるフリーダ。
ここは、あなたの家よと。
同じパリを愛し、似たような人生を送るであろう女性。
そして、きっと、フリーダは、本当は、故郷にも、
このようにして招き入れてもらいたかったのだろう。

過去を知らない人との出会い。
それは人生をやり直すことがきるチャンスなのかもしれない。
過去を知らなければ、何の負い目も引け目も、しがらみもない。
そんなチャンスを失いそうになり、しかし取り戻すことができた。
それはフリーダが過去から学んだ教訓なのかもしれない。
アンヌに自分と同じ人生の歩みを見出したからかもしれない。

人は簡単に孤独に陥る。
けれど抜け出すチャンスはやってくる。
本人が、それを逃さなければ。



図らずも母親の死を願ってしまったアンヌ。
図らずもフリーダの死を待っているステファン。

死に逝く人に縛られる人生。
そう考えると、とても虚しく寂しいものかもしれない。
けれど、愛する人の最後を共に過ごす生活。
そう考えると、安らぎと幸せ、別な意味の寂しさを感じるものなのかもしれない。

そんなことも感じさせてくれる映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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