KOTOKO  
2013.12.12.Thu / 18:49 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






恐怖を妄想してしまい追い詰められていく女性。
世界を信じることはできるのか。
自分を信じることができるのか。
不安だから確かめたくなる。
追い詰められているから、異常な手段で確かめてしまう。
それでも恐怖は無くならない。

世界はやはり信じることが出来ないと思ってしまった、その時。
しかし、信じることが出来るものもあることが分る。
それは血の繋がりがもたらしたものでるかもしれない。
しかし、それ以上に、その愛情が双方向であったためのようにも思える。

妄想と現実の境目をさ迷い、
最後には信じることが出来る愛情にたどり着いた。
そんな女性の抱えた圧倒的な切迫感と
最後にたどり着いた微かな希望が印象的な映画。



世界が二重に見える女性、琴子。
一つは現実世界。
もう一つは琴子を傷つけようとしている世界。
琴子を傷つけようとしている世界は、
琴子が妄想している恐怖が琴子に見せている世界なのだろう。
世界を信じることは出来るのか?
自分を信じることが出来るのか?
不安だから確かめたくなる。
どんなに傷つけても相手は自分の元から去ることはないことを確かめたい。
どんなに傷つけても自分の生きる力は無くならないことを確かめたい。
それは、とても痛々しい行為。
しかし、不安は無くならないと分かっているはずなのに、
止めることができない。

なぜ、琴子は不安を抱えているのか。恐怖を妄想してしまうのか?
全てをうまくできない、と感じてしまうほどに妥協が出来ない性格だからか。
シングルマザーで、全ての責任が自分にかかっているから、なのか。
理由として、それ以上に感じられるのは、
裏切られるのが嫌だから。過去に裏切られて酷い目にあった経験があるから。
琴子からは、そう感じてしまう。


琴子の歌を愛した男、田中。
どんなに酷い目にあっても琴子の元を去らなかった。
琴子も心のどこかでは信じたいと願ったから、
彼が執筆した本に興味を持ったのだろう。
けれど、琴子が信頼した途端、琴子の元を去ってしまった田中。

男は自分の欲望を適えるためならば、どんな酷い仕打ちにも耐えられるのだろう。
けれど、欲望が適えば、相手を簡単に見放す。
俗に言えば、釣った魚には餌を与えない。
琴子が全身全霊を込めて歌った歌。
それを得た田中は、琴子から興味を失ったのではないか、
そう思えてならない。


再び、二人に戻ってしまった琴子と、その子供、大二郎。
不安が現実となる前に、自分で、その不安を現実のものとする。
日々を深い不安に襲われ、耐えられなくなってしまった琴子。
そんな彼女の自己防衛による、悲劇的な選択。


この映画は、もしかしたら、ほとんどの部分は琴子の妄想なのかもしれない。
そんな不思議な雰囲気がするラスト。

大きくなった大二郎が琴子を訪ねてくる。
大二郎が示してくれる愛情は、以前、琴子が大二郎に与えたもの。
男と女の関係ならば簡単に崩れてしまうのかもしれない。
けれど、息子と母親の愛情は簡単には崩れないのかもしれない。

全編、気がふれたかのように振舞う琴子。
そして、この映画は、とても幻想的で幻のようにも感じられる。
しかし、琴子が示した息子への愛情は本物だ。
たとえ、その方向が間違っていたとしても、、、
それ故に、大二郎は母親のもとへ通ってくるのだろう。
田中に対しては、彼が持つ琴子への愛情を試しただけだった。
しかし、琴子は大二郎を全身全霊を込めて愛した。
そこに大きな違いがあったようにも感じられる。

妄想と現実の境目をさ迷い、
最後には信じることが出来る愛情にたどり着いた。
そんな女性の抱えた圧倒的な切迫感と
最後にたどり着いた微かな希望が印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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