リンカーン  
2014.02.06.Thu / 16:00 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






奴隷制度を廃止させようとしたリンカーン。
しかし、その道のりは険しい。

戦争を今終結させれば無用な犠牲は避けられる。
けれど、それでは奴隷制度は容認されて存続してしまう。

個人の考え方や信条の違い。
各地方の利権や利害関係。

奴隷制度の廃止は正しいこと。
けれど、それを力づくで行うことは法に反すること。
相手の信条や気持ちを理解する為の忍耐を強いる対話が必要になってくる。

黒人たちは解放されたのならば何をするのだろうか?
果たして白人と上手くやっていけるのだろうか?
お互いを理解し合える日がやってくるのだろうか?


様々な問題や葛藤に悩み苦しんだリンカーン。
しかし、最後には修正法案を成立させる。
大きな事を成すには大きな忍耐と対話が必要なのだろう。
自らの目標を自らの信条に背くことなく成し遂げた男。
その人間としての大きさが心に残る映画。





すでに4年目に突入した南北戦争。
戦争を終結させ、奴隷制度を廃止させようとするリンカーン。
しかし、それは非常に難しい。

奴隷制度が廃止されれば戦争は終わると考えている民衆。
だから、戦争が終わってしまえば、
きっと民衆は奴隷制度に関心を示さなくなってしまうだろう。
さらに、戦争を終結させる為ならば、
奴隷制度を容認してしまう可能性もある。
だから、待てない。時期は今しかないのだ。
遂に南から和平交渉の使節団がやって来る。
彼らは真に平和を望んでやってきている。
無視すれば無用の血が流され続けるだろう。
一時は使者を受け入れようとしたリンカーン。
しかし、それでは今まで死んでいった者たちの犠牲が無駄になってしまう。
同じ物と等しい物は互いに等しい。
その信念に立ち返り使者を留め置くことを決めたリンカーン。
それは、更なる犠牲が出ようとも。
戦場に行ってしまった息子が危険にさらされようとも。
果たして自分はこの時代の大統領に相応しいのだろうか?
しかし誰かが決断しなければいけないことなのだろう。

もし、使節団を留めてたことが知られれば、修正案は通らない。
投票の当日に、それが露見したのは一種のサスペンス的演出かと思ったが、
これも用意周到に準備された議会工作のように思える。
使節団の話が露見し、使節団のことを知っていたにもかかわらず、
身内である共和党の保守派が延期を訴える。
さらに、リンカーンのコメントで延期申請を即時取りやめる。
上手に議会の流れや雰囲気を操った様に見える。



巨大な権力を持つ大統領といえども、
出来ない事、してはいけない事は沢山ある。
人に自身の意志を強制的に従わせ議会を操ることなど、
民主主義の理念から言えば、決してやってはいけないことだ。
それは、目的が絶対に正しいことであったとしても。


息子の軍隊入隊を止めることが出来なかった。
なぜなら、息子は自分の信念にしたがって入隊したのだから。
いま、逃げ出せば、息子は一生自分を責め続けるだろう。
だから、母親に止めることを強制されても止められない。
人の信条、信念は強制的には変えられないからであろうし、
変えてもいけないのだ。

職業斡旋をして抱き込んだ議員たち。
しかし、修正案を通すには、まだ表が足りない。
我慢強く対話を繰り返すリンカーン。
弟が犠牲になり、それ故に、黒人を憎む議員。
対話をしても、その憎しみと偏見はなくならなかった。
人の信条、信念は強制的には変えられないからであろうし、
変えてもいけないのだ。

反対票を投じた議員の直後に映し出されるリンカーンの優しげな表情。
強制的に人の信条を変えてはいけないと理解しているからこその、
達観した表情に見える。

しかし、それでも多くの人々が賛成を投じて遂に修正案は下院を通過する。


様々な人々の雑多な考えが交じり合うのが民主主義だ。
だからお互いを理解し、議論を経て、理念を統一させることが重要であろうし、
その為には十分な対話が必要なのだ。
真摯にお互いが向き合い、忍耐を持って相手を理解することが必要なのだろう。


黒人たちの目標は自由を手に入れること。
だから得られた自由で何をするかなんて誰も考えてはいなかった。
そして投票権や参政権を黒人に与えてしまったのなら、どんな事が起こるのか?
果たして黒人と白人は上手くやっていけるのか?
それに対してリンカーンは静かに答える。

私たちは、相手に対してお互い期待を抱く権利がある。
そして、それぞれの期待を理解し合えるだろう。

修正案が下院を通過した日。
修正案の原本を家に持ち帰るスティーブンス。
それは彼にとっての妻と呼べる人に見せる為。
相手を黒人と一括りに考えれば不安になる。
けれど、個々人とならば対話を通じて理解しあえるはずなのだ。
そこが相互理解の出発点になるのだろう。


大きな事を成すには相手を理解することが必要であるし、
その為には、大きな忍耐と対話が必要なのだろう。
自らの目標を自らの信条に背くことなく成し遂げた男。
その人間としての大きさが心に残る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1160 / タイトル ら行 /  comments(0)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
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