藁の楯 わらのたて  
2014.02.27.Thu / 16:21 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






屑と断定できるほどの価値の無い青年を命懸けで守る男。

法治国家であれば、どんな悪人でも裁判を受ける権利があるから。
上司の命令だから。
復讐は虚しく何も生み出さないから。
命を守るのが自分の仕事だから。
そんな仕事と生き方に誇りを持ち、
それを捨てるのは相手と同じ屑に成り下がってしまうから。

多くの犠牲の上に、屑を守りきった男。
しかし、彼が守ったのは屑の男ではない。
悪に染まってしまいそうになった心と戦い、
最後には自らの誇りと生き方を守りきったのだろう。

最後まで自らの生き方を貫いた男。
そんな男の生き様に感嘆してしまう映画。



根っからの悪人で人間の屑、清丸。
清丸に賭けられた賞金、10億円。
そんな清丸を護衛しなければならなくなった、銘苅。
それは、全国民を敵に回してしまうということを意味している。
それでも銘苅は、命を懸けて清丸を守ろうとする。
清丸を殺そうとする、多くの人々。
10億円という大金は確かに魅力的だ。
けれど、普通の生活をして、そこにある程度の幸せと満足を感じていれば、
人を殺して10億円を得ようとは思わないかもしれない。
けれど10億円あれば、行き詰ってしまった人生をやり直すことができる。
借金の返済や医療費、自分よりは家族の幸せ。
自らが犯罪を犯してまでも愛する人を救いたい。
そんな動機が、しかし、人を清丸殺害に走らせるのだろう。


清丸に、守る価値はあるのか?
幼女を残酷に殺し反省すらしない男。
そして清丸は、生き延びたのならば、きっと同じ犯罪を犯すだろう。
そんな男の護衛に命を懸ける意味があるのだろうか?
護送中ですら逃走を企てる、犯罪を犯そうとする。
自らを守ってくれた人を殺害する。
自らが生き残るのには必要な人のはずなのに、、、
常識の範疇では図れない異常な男だ。


酔っ払い運転で、しかも再犯により身重の新妻を殺されてしまった。
そんな重い過去を背負う、銘苅。
犯人を殺してやりたい、しかし、ギリギリのところで踏みとどまっている。
きっと妻は、そんなことを望んではいない。
復讐を望んではいない、という以上に、
憎しみに駆られ、人を殺害し、
結果として殺した人間と同じ屑に成り下がってしまう、
そんな夫を見たくはない。
妻ならば、きっとそう望んだと銘苅は感じたのだろう。


最後まで清丸を守りきった銘苅。
しかし清丸に命を懸けて守る価値があったのかと言えば、それはノーだろう。
銘苅は、清丸を守ったのではない。
自らの生き方と誇り、
そして銘苅の心の中では今だに生きている妻の想いを守りきったのだろう。
弱く、折れそうな心と戦いながら。

最後まで自らの生き方を貫いた男。
そんな男の生き様に感嘆してしまう映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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