カナリア  
2014.03.13.Thu / 17:13 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人間は弱く、世界は生き難い。
だから、想像してしまう。求めてしまう。
この世界をがらりと変えてしまう、新しい何かを、、、
新しい価値観、今までとは違う他人からの評価。
まったく別な生き方。子供を選びなおす事。
しかし、そんなものは存在しない。
なぜなら、自分は自分でしかないからだ。


親に見捨てられてしまった子供たち。
それでも母を求める息子。
父親から逃げ出した娘。
息子が抱いている願望は、叶うはずのない願い。
娘は、叶わぬはずの願いだと知っている、体験している。
それでも、叶えさせてあげたいと考えていたのだろう。


人間は弱く、世界は生き難い。
それでも自分は自分から逃げられない。
自分を囲む現実からも逃げられない。
最後には、それを理解した息子。
覚悟を決めて、赦し、
現実を生きていくことを決めたのだろう。

絶望的な世界でも生きていこうとする命が眩しく感じられた映画。

映画初出演とは思えない、石田さんと谷村さんの演技も光った映画。



なにも分らないままに母親によって、
新興宗教に入信させられてしまった少年、光一。
母を求めて教団に反発し、しかし、
母を求めて教団の修行に染まっていく。

母親には死なれ父親からは虐待を受けている少女、由希。
二人の東京への逃避行。
寡黙な光一におしゃべりな由希。
二人のかみ合わない会話。
内容はとても悲惨なもの。
けれど、かみ合わなさが微笑ましい。
そして、光一が教団に教えられた価値観に、
がんじがらめに縛られていることが分る。
それはきっと、母親との約束をかたくなに守っているからであろう。
いつか母親と一緒に暮らす日を夢見て。


東京になんとか、たどり着けた。
しかし、目にするのは現実の厳しさ。
荒れ果てた祖父の家、祖父は行方が分らない。お金は底をつく。
それでも生きていかなければならない。
万引きをするのか、援交するのか、
そんな厳しい現実を目の当たりにする光一。


現実から逃れようとした大人たち。
新興宗教に入信する者。
由希を虐待し、切り捨てようとした父親。
光一を捨てた祖父。
それでも彼らは現実からは逃れられない。
けれど、子供たちには逃れようとする行為すら許されない。
子供は親を選べない事と同様なのだ。
そこに留まり現実を受け入れるしかない。


母親の為に寂しさも我慢し辛い修行にも耐えた。
けれど母親は死んでしまった。
それは光一にとっては深い絶望、起こってはならないこと。
それは、光一の今までの人生をすべて否定されてしまう現実。
しかし、それでも受け入れなければならない現実なのだ。

「うちがあんたの妹をつれてきたる。
 つれてこられへんかったら、うちがあんたと一緒に死んだるわ。」
それは由希が光一に、
現実を受け入れて強く生きて欲しいという願いからの言葉。
頼りない足取りであったとしても人生という現実を、
歩んでいかなければならないのだ。

雨にうたれながらも一人歩く由希。
彼女もまた、厳しい現実と戦っているのだろう。

最後には母親の死を受け入れることが出来た光一。
祖父の弱さを赦し、由希を受け入れ、
妹と生きていく覚悟を決めたのだろう。


人間は弱く、世界は生き難い。
それでも自分は自分から逃げられない。
自分を囲む現実からも逃げられない。
最後には、それを理解した光一。
覚悟を決めて赦し、
現実を生きていくことを決めたのだろう。

絶望的な世界でも生きていこうとする命が眩しく感じられた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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