アンチクライスト  
2014.03.27.Thu / 17:27 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






セックスの最中に息子を失ってしまった母親。
悲嘆にくれ、苦悩し、
それら心の痛みが肉体にまで及んでしまう。

宗教的な暗示がたくさん登場するためなのか、
鬱病に苦しんだ監督の心情が説明もなく投影されたためなのか、
特異な状況を描いている様でいて、普遍さも匂わせている。
この映画は、とても難解な映画である。


女性蔑視や軽視とも非難されかねない映画かもしれない。
私が感じたのは、人の救済はこの世に存在するのか、ということ。
罪や間違いを犯したならば、
人は滅びの道を歩むしかないのか?
救済を与えるものは存在しないのか?

そんなことが心に重くのしかかる映画。





セックスの最中に息子を死なせてしまった母親。

母親にとって息子は愛する者。
しかし、それと同時に、
自分の人生を邪魔をする厄介な者なのかもしれない。

息子が飛び降りるところを目撃しているにも関わらず、
止めることをしなかったのは、
快楽の途中で一瞬魔が差したようにも見えるが、
きっと虐待は、あの森から続いていて、
その延長線上にあったことのようにも思える。
息子を失い悲嘆にくれる母親。
恐れの正体を見極めれば立ち直れるはずだった。
しかし、それは迷宮への入り口だったのだろう。

性欲に狂うというよりは、
狂ったからこそ、性欲に走ってしまう。
走ってしまう理由は、人との繋がりを確認したいから。
それは、夫の足に重石をつなげ、
息子の靴を反対に履かせる動機と同じ同じであるように感じる。
自分の元を去って欲しくはないという思い。
それと同じであるように感じられる。
けれど、不安や恐怖は無くならない。
罪の意識は消えない。


自然は悪魔の教会。
周りの総てが彼らを追い詰めてゆく。
母親が狂ってしまったのは、彼女の研究内容のためなのか。
もしくは、夫が余りに高圧的に支配しようとしたためなのか。
それとも、自然の成せる技なのか?


総てを解っている様でいて、しかし何も知らなかった夫。
治療できると信じていたにも関わらず、あまりに無力。
妻を追い詰めていったのは夫の無理解も原因の一つであるように感じられる。
そして、妻を殺してしまった夫も同様に救われないのだろう。

最後に登場する顔の無い女たち。
特異な例を描いているようでいて、最後は普遍さを匂わす。
宗教的意味合いが理解できていれば普遍さを感じたかもしれない。
だが、正直、普遍さはあまり感じられない。


赦し難い罪を犯し苦しみぬいた。しかし、助からなかった母親。
セラピーも宗教も自然も、あまりに無力。
罪の意識に苛まれ狂気に走ってしまった母親。
はたして、罪や間違いを犯したならば、
自らの罪悪感故に人は滅びの道を歩むしかないのか?
そこに救済は存在しないのか?

そんなことが心に重くのしかかる映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1173 / タイトル ら行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
これは観ていて疲れた映画でした(^^;
内容もスンナリ入ってこないし、
普通に考えても、監督の意図する所と違うような気がして、
理解しようと努力するのをギブアップしました(^^;
救済は存在しないのか・・・なるほどね・・・
それも描かれていた気もします。

2014.04.02.Wed / 16:29 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

なんだか、先が見えないし、
出てくる人も苦しそうだし、
閉塞感もあって、疲れましたね。
トリアー監督にとっては、
取りとめも無く、やっちまった、って感じの作品、
なのではないのでしょうか?
それでも主演の二人の鬼気迫る演技は凄かったですね。

それじゃ、また。

2014.04.02.Wed / 23:05 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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過激な衝撃作にアイタタタ・・・(><) 圧倒されっ放しで、言葉が出ない。 ANTICHRIST 監督:ラース・フォン・トリアー 製作:2009年 デンマーク・ドイツ・フランス・スウェーデン・イタリア・ポーランド 出演:*シャルロット・ゲンズブール *ウィレム・デフォー グルーポン・サイトでのTSUTAYA DISCAS特別割引、 500円で12本借り切りました...
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