サラの鍵  
2014.04.10.Thu / 21:32 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






過去にあった悲劇的な出来事。
過去であったとしても、それは真実。

真実を目の前にして、
目を覆い耳を塞ぐ人々。
真実に耐えられず自殺してしまう女性。
しかし、真実を受け入れ自身の未来の糧にする人々。

この映画は、代償を払ってでも知るべき真実がある。
そんなことを言っている様に最初は感じられた。
けれど、見終わった後には別な印象を持ってしまう。

時に、重すぎる真実は知った後に、
自身の中で熟成させる時間が必要なのだろう。
自らの中で熟成した真実は、
自身の未来の糧にする事が出来るのかもしれない。
それが出来た時、それはとても幸せなことなのだ。
本人だけでなく、周りの人々にとっても。


真実と向き合うこと。
その難しさと、それ故の幸せが余韻に残る映画。




ユダヤ人の利発な少女、サラ。

機転を利かせたつもりだった。
しかし、息子を閉じ込めたまま家に帰ることはできず、
両親には責められ、助け出すことだけを念じ、
しかし、弟を助けることは出来なかった。
弟は助かるとばかり思っていた私には、このシーンはとても衝撃的。
アメリカ人でジャーナリストの女性、ジュリア。

サラの人生を知りたかったジュリア。
それは、ジャーナリストとしての性でもあり、
自分たちが住む場所で過去に起こった出来事を、
はっきりさせたかったからなのだろう。
けれど、それが変化してゆく。

念願であった二人目の子供。
本人は産みたいと考えている。けれど、高齢出産ゆえに周りは産む事を許さない。
きっと、ジュリアはサラの人生に答えがあると漠然と感じていたのだろう。
それを望み、それを欲していたのだろう。
答えというよりは、それでも産むべきだという、自分の背を押すようなメッセージが
見つかると期待していたのではないのだろうか?
しかし、他人の人生に、そんなものは見つかるわけも無い。



この映画は、代償を払ってでも知るべき真実がある、
そんなことを言っている様に見ている間には感じられた。
けれど、鑑賞後には違和感が伴う。

サラは、果たして弟の顛末という重たい真実を、
あの年齢で知る必要があったのだろうか?
真実に苦しみ、死んでしまったサラを責めることは誰にも出来ない。
そして、真実を追い求めていたジュリアに代償を支払う覚悟があったようにも見えない。



ニューヨークで再会したジュリアとサラの息子、ウィリアム。
二年前には真実を追い求めようとした自分を傲慢だったと謝罪したジュリア。
二年前には真実を拒絶したのに、本当の母を見つけたことを喜ぶウィリアム。

真実を知り、しかし、それを心の中で昇華させるには時間が必要なのだろう。
サラの人生を知ったジュリアは、しかし、
自分に出来ることはとても少なく、
ただ、サラの人生を忘れたくは無いと子供を生むまでの間に考えたのだろう。
そして、サラという人をジュリアが認めることで、
サラ自身が自分を赦すことを願ったのだろう。

母親の本当の姿を知ることで、
ウィリアムの母親への愛情はさらに深くなっていったのだろう。

時に真実を知るのには犠牲が伴う。
だから、知るには勇気がいる。
そして、知った後でさえ、
その真実を見つめる忍耐、自らへの赦し、冷静な思想が必要だ。
人は弱くて、誰にでも、それらを強制はできない。
真実に目を背けて耳を塞いでしまうこともやむを得ない。
真実の重さに心が耐えられず、人生を全うできなかったとしても、
それはやむを得ないのだろう。
それは、サラのように。
けれど、真実と向き合い、自分自身の未来の糧とする事が来たのなら、
それは、とても幸せなことなのだろう。


真実と向き合うこと。
その難しさ、困難さ、しかし、それ故の幸せが印象的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1178 / タイトル さ行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

この映画を観た時は、サラの事は忘れられないと書いたのに、
少々内容を忘れかけていました(^^;
でも、よく出来た脚本でしたよね。(^▽^;)

真実が重ければ重いほど、知るのに犠牲が伴うし、
その後も重さに耐えていかなくちゃいけないんですよね。
確かに真実と向き合うのは困難ですね。
ジュリアとウィリアムの場合は喜んでいたので、
幸せな結末となって良かったです。

2014.04.11.Fri / 17:48 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんにちは。

弟さんは、どうなったのか?
サラの、その後はどうなるのか?
ジュリアは、どんな生き方を選択するのだろうか?
と、なかなかに目が離せない展開で、
引きつられた映画でした。

最後のジュリアとウィリアムの会話は、
供養や弔いの雰囲気を強く感じました。
安らかに眠って欲しい、そんな感じです。

時に目を背けて忘れてしまいたい悲劇でも、
二度と繰り返さない為には、直視する必要があるんでしょうね。
それでも、言うは易し行うは難しい、のでしょう。

それじゃ、また。

2014.04.13.Sun / 16:27 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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