たどんとちくわ  
2014.04.17.Thu / 21:42 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






自分の存在を無視される。
それは思いのほかにストレスの溜まる状況。
そんな状況に耐えられず爆発した男たち。

描いているテーマは市川監督らしい。
けれど、描き方が、今までの作品とはまったく異なる。
淡々とはしているが、バイオレンスに溢れていて、
見ていて苦痛になる。

そして肝心な落ちは端折っている。

ストレスに絶えられず爆発した男たち。
だから、なんなんだろう。
失礼だが、見ていてとても苦痛に感じる映画。
されど、出演している俳優さんたちの見事な演技に救われる映画。




タクシーの運転手、木田。
乗客に話しかけられたと思ったら、それは自分にではなく客同士の会話。
自分は居ない者と思われ、人前ではできないような話をする乗客たち。
そして、自分を人とは思わない乗客もいる。
完全に自分の存在を無視され、それにいらだつ木田。
他人の話をしているのではなく自分の話をしているんだ、
と主張するあたりに、彼の苛立ちがよく伝わってくる。

自分を邪険に扱う客に最後は逆ギレ。
銃で脅し炭団を作らせるというのは、
かなり唐突な展開ではあるが、
それ故に彼のストレスの爆発ぶりが伝わってくる。


売れないであろう作家、浅見。
作家先生と呼ばれても、所詮売れない二流作家。
そんなことは自分自身が一番良く知っている。
それでも、作家としての態度を崩さない。
周りに丁重に扱われ、その扱いを甘んじて受ける。
それは、まわりは嘘つき、自分も嘘つきということなのだろう。

なぜ、自分の作品は世間に受け入れられないのか?
そんな想いで周りを見渡すと、
自分はとても好奇な目で見られているのではないかと勘ぐってしまう。

自身の本当の姿を偽り、本当の姿で見てもらえない。
それは自己喪失という強迫観念に繋がっていくのだろう。
自分の体の一部が欠けてゆく。
それは強迫観念がもたらす幻覚なのだろう。


暴発が収まればすっきりさわやかな木田。
なぜか乗客とも意気投合。
そして、最後には自身の体の一部を見つける浅見。

原作ありきの作品なのだから、仕方ないのかもしれない。
けれど、従来の市川監督の作品であるならば、
乗客と木田が意気投合するシーンとか、
なぜ、浅見が体の一部を取り戻すことができたのか、
そのあたりを、もっと丁寧に描くであろうと思わずにはいられない。
爆発して暴走して、ストレスが収まる、というだけでは、なにか物足りない。
市川監督ならば、なぜ、ストレスが収まって、皆が仲良くできたのか、
そこを物語のキーにするのではないだろうか。
そんなふうに思えてならない。


役所さん、真田さん、根津さんは、さすがに見事な演技。
特に真田さんの狂気に陥っていく表情は見事。


ストレスに絶えられず爆発した男たち。
だから、なんなんだろう。
失礼だが、見ていてとても苦痛に感じる映画。
されど、出演している俳優さんたちの見事な演技に救われる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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