オン・ザ・ロード  
2014.04.24.Thu / 16:15 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






あても無く広大な世界をさ迷う彼ら。
目的も分らず、目的地も定めずに。
それはあたかもさ迷う事自身が目的でもあるかのごとく。

父親が死んでしまった。
その父が最後に遺した言葉。
それらが旅の目的地を見失なわさせる。

自由である事の為に様々な事を捨ててきた。
しかし、確実に自由は失われてゆく。
そして、皮肉なことに、
捨ててきたものの大切さは後から思い知る。

彼らも、どこかで気付いているはずなのだ。
この旅の行く末を。
けれど、彼らは走り続ける。
それは、あたかも熱病に取り付かれたかのごとく。

しかし、旅には終わりがやってくる。
憧れも幻想であったことに気付く。
そんな旅の終わりはやって来る。
けれど、旅の道連れは、
単に彼を通り過ぎていって、何も残さなかった。
そんな寂しさと殺伐さを感じてしまう映画。




作家である、サル・パラダイス。
好青年で人当たりもよく、誰からも好かれるであろう青年。
しかし、彼の友人たちが羽目を外すことばかりしているにもかかわらず、
彼らとは一歩距離を置いているような、
ある意味で、友人たちからは独立している雰囲気も感じさせる青年。
サルの友人、ディーン。
自由に生き、他人に迷惑をかけても省みない。
自由であるために、いろいろなものを捨ててきた青年。

父親が死んでしまった。
そして父親が遺していった言葉。
お前の手には豆が無い、懸命に働いた経験が無いからだ。
最後の最後で、父親に否定されてしまったサル。
だから目指すべき場所も見失ってしまった。
それは幼い頃に父親に捨てられたディーンも同様だ。

二人と多くの仲間で旅をする。
一応、目的地は存在する。
けれど、彼らにとっては移動することが目的なのだろう。
多くの人に出会い、多くの場所を訪れれば答えは見つかるかもしれない。
人生を、如何に生きるべきかという答えが、、、
しかし、、答えはなかなか見つからないうちに周りばかりが変わっていく。

けれど、旅の道の先にあるものは決まっている。
答えは、漠然としているが分かっている。
何かを得る代わりに自由を失う。
自由を得る代わりに大切なものを失う。
そんな答えが待っていることを。
そして自身も、それをすでに経験しつつあることも。

父親を見つければ、この旅を終わらせることができる。
しかし、父親を見つけることはできなかったディーン。

上手に立ち振る舞ってきたサルは、
しかし、失うことの痛みを感じることも少なかったのかもしれない。
会えるはずの無い女性と再会を約束したり、
ディーンの恋人であるメリールウに魅かれても、
痛みからは上手に避けてきたように感じられる。
けれど、最後には友人であるディーンに捨てられる。

この映画では、好青年としてサルが描かれていて、
それ故にサルからは大きな変化を感じられなかった。
裏切られた痛みが彼に何をもたらしたのか、
見ていて良く感じることができなかった。
けれど、最後にディーンに再会した時のとまどい。
以前の彼ならば、コンサートなどほって置いても、
ディーンとともに時間を過ごしただろう。
なぜ捨てたのかと、問い詰めたかもしれない。
その後、一晩中騒ぎまくったであろう。
しかし、ディーンよりはコンサートを選んだサル。
ディーンとの旅は、すでに終わっているのだ。
サルは、この時に、自身の旅の終わりを実感したのだろう。
大きく変化したディーンの風貌とともに。


残念ながら旅や青春の終わりの感傷は、あまり感じられなかった。
それよりも感じてしまうのは、人生の殺伐さ。
多くの人と出会い、多くの人と別れた。
けれど、それらの人々は今では自分の人生を生きている。
取り残されてしまったサルとディーン。
しかし、ディーンも自分の人生を生き始めているようだ。
もしかしたら再び自由を求めるかもしれないが、、、

旅の終わり。それは憧れが幻想であったことに気付くこと。
そんな寂しさと殺伐さを感じてしまう映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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