海洋天堂  
2014.05.08.Thu / 20:04 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。

自閉症で一人で生きるのが困難な息子。
癌で死期が近づいている父親。

最初は一緒に死のうとした。
けれど、息子が、まだ生きたいと願っている事を知った時、
息子が一人で生きられる為の躾を始める。

けれど、最初は父親は勘違いをしていたのだろう。
不安なあまりに目先が捕らわれていたのだろう。
実は、身の回りのことを自分で出来るようになる以上に、
大切なことは沢山ある。

息子には父親が気付いていない世界がある。
息子には父親が知らない世界がある。
それらが、一人で生きてゆかなければならない息子の人生を、
明るく照らすのだろう。

父親の死後に息子に差し伸べられる多くの救いの手。
それらは、父親の深い愛情故なのだろうが、
すべてを父親が背負わなくても良かったのではないかと、
思わずにはいられない。

そして、一人で生きていくのは、とても寂しいもの。
それを理解した父親は、息子に教えたかったのだろう。
父は、いつでも、いつまでも君と一緒であることを。

父親が息子に注ぐ愛情の深さ。
その深さが哀しくも幸せな気持ちにさせられる映画。





癌で死期が近づいている父親、ワン。
自閉症で一人での生活が困難な息子、ターフー。
一緒に死のうとした、けれど、出来なかった。
状況をよく理解できていないのかもしれない。けれど、
ターフーは生きることを望んでいるのだろう。
その日から、ターフーが一人でも生きてゆけるように、
ターフーを受け入れてくれる場所を捜すワン。
そして、一人で生活できるように躾を始める。

一人になったら一人で総てを行わなければならない。
だから、不安になる。心配になる。
一人で着替えが出来るのだろうか。
一人でバスに乗れるだろうか。
一人で食事を作り食べれるだろうか。
時に我慢強く、しかし、時には苛立ち、しかし、深い愛情を持って、
さまざまなことを一人で出来るように教えていくワン。
親としては、それらのことが真っ先に必要だと考えてしまう。
確かに、それらは大切なことなのだろうが、
他にも大切なことは沢山ある。


ターフーは父親である自分とだけ生活をしてきたと思っていた。
けれど、ターフーには、水の中という特別な場所がある。
もしかしたら、水の中は、
亡くなった母親との思い出の場所である海なのかもしれない。
自分自身がとても自由になれる場所であるのかもしれない。
水槽とはいえ、水の中のターフーはとても幸せそうで生き生きしている。
そして、ワンが知らないうちにターフーが出会った女性、鈴鈴。
父親が知らないところで、自身の人生を広げて行くターフー。
もしかしたら、この時点で、ターフーは、ワンの知らないところで、
ワンの元から巣立っていく準備が出来ていたのかもしれない。


ワンの葬式の時に集まってくれた多くの人々。
親と子だけで生活していたのなら、
こんなに多くの人は集まってはくれないだろう。
そして、ワンの死後も多くの人がターフーに手を差し伸べてくれる。
それらも、ワンの深い愛情が遺した遺産なのだろう。


ターフーを施設に預けて一人家に取り残されたワン。
この時に感じた、寂しさ。
きっと、自分が死ねばターフーも同じ想いを抱えてしまうだろう。
ターフーにとって水中は特別な場所。
であるならば、そこに父は常にいる。
そんなことをターフーに教えたかったのだろう。
父は、いつでも、いつまでも君と一緒であることを。
水の中に戻れば、父はいつも、そこにいることを。

ワンの死後。立派に生きてゆくターフー。
そんなターフーに電話がかかってくる。
それは、果たして鈴鈴からなのか、天国の父親からなのか。
けれど、これだけはいえるのだろう。ターフーは、決して一人ではない、と。

自身の総てをターフーに捧げたワン。
再婚も諦めて、自分の余命をすべてターフーのためだけに使う。
もう少し、自分の回りの人間に頼り、
彼女を幸せにしてあげれば、とも感じてしまう。
そこが、とても哀れではあるのだが、
ワンは少しも後悔はしていないのだろう。

父親が息子に注ぐ愛情の深さ。
その深さが哀しくも幸せな気持ちにさせられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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