楽日  
2014.05.15.Thu / 20:14 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






長い歴史を持つであろう映画館。

迷路のような通路。
昼間でも暗い館内。
高く詰まれた荷物の山。

今の映画館とは違い、
昔の映画館は、とてもいががわしく感じられた場所。

その映画館も遂に楽日を迎えてしまう。
けれど、最終上映とはいえ、なにも起こらない。
普段と同じように上映が終了し、
セレモニーも無いままに映画館は閉じられる。

最終日よりは、遥かに以前に、
映画館は、その役目を終えていたのだろう。
映画館に映画を見に来る人々が来なくなった、その日から。

人々に忘れ去られた映画。そして映画館。
淡々としたシーンの中に、
忘れ去られ、閉じられていく映画と映画館の悲哀を感じる映画。



雨の夜、それは、その映画館の最後の上映の日。
しかし、役目を全うした晴れやかさはない。
閉館に誰も嘆かない。
いつも通りに仕事をこなす、もぎりの女性。
映画館を点検するときの眼差しに、
なにか憂いを感じさせるようにも見えるが、
事務的に淡々と仕事をこなす。

最後の日に上映を鑑賞する男たち。
しかし、目的は別なこと。
思わせ振りな視線を交わし、しかし、交わらない。
彼らは幽霊か別世界の生き物なのでは、、、
そんな印象を持ってしまう。

この映画館には幽霊が出る。
その幽霊に追われるように逃げ出した男。
まるで映画館に復讐されたかのようだ。

もはや映画を真剣に鑑賞しているのは、
その映画に主演した男性二人と女性の幽霊のみ。
彼らはすでに何度も映画を見てきたのだろうし、
どちらかと言えば観客よりは映画や映画館側に近い存在である。
そういう意味で、映画を楽しもうとする観客はいない。

上映が終わり映画館が、まさに死んでしまった時。
けれど、なにも起こらない。
いつも通りに上映が終了し、扉が閉められる。
それは、とても寂しく感じられる光景。

思うに映画館はすでに死んでいたのだろう。
遥か以前に、役目を終えざるをえなかったのだろう。
人々が映画館に映画を見に来なくなった、その日から。

人々に忘れ去られた映画。そして映画館。
淡々としたシーンの中に、
忘れ去られ、閉じられていく映画と映画館の悲哀を感じる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1187 / タイトル ら行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
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