ほとりの朔子  
2014.05.22.Thu / 20:24 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






大人たちには大人の事情がある。
子供たちには子供の事情がある。
だから、思ったようには生きられない。
道徳に背く事。他人を傷付ける事。自分の意にそわない事。
そんな事をしてしまう。

けれどきっと、行っている行為と、
その人の美しさは関係が無いのだろう。

他人の傷みに気付けるかどうか。
したくはないのに、せざるを得ない矛盾に苦しむ。
一方で、他人なんかお構いなしに、自分がしたいと欲しただけで、してしまう。
そこに、別れ道があるのだろう。

少年の痛みに気付いた少女。
彼女の人生は、まだ始まったばかり。
けれど、その優しさを失なわず生きていくだろう。

人には、それそれの事情がある。
大人であっても、子供であっても。
それら事情の総てを理解できている訳ではない。
けれど、他人の痛みに気付いた少女。
そんな少女の出発点を描いた映画。




受験に失敗した浪人生、朔子。
ガリ勉をして、しかし、全ての大学に不合格。
自分には目指す将来の目標もない。
カラッポの自分をなげいているようで、
どこか、他人事のようにも感じているように見える少女。
福島から疎開してきた少年、孝史。
平然としているようで、自分の中の矛盾に苦しんでいる少年。

徐々に親しくなっていく、孝志と朔子。
しかし、孝史に女性から電話が掛かってきた。
それは、きっと孝史に気があるから、と遠慮した朔子。
しかし、それは孝史を利用するための電話。

原発はよくないのだろう。
けれど、それで地元が潤っていたのも、事実。
簡単に割りきれるものではない。反対できるわけもない。
複雑な想いを抱えて、その場を逃げ出す孝史。
その気持ちを理解し、かわいそうと感じる朔子。


人は平気な顔をして暮らしていたとしても、
実は心の中には様々な事情を抱えている。

ホテルの経営をしている叔父さんは、
それが良くない事と理解していても見ぬふりをする。
「明日から来なくて良いから。もう、卒業だ。」の台詞に、
大人の優しさと配慮を感じさせる。

昔は付き合っていた叔父さんと叔母さん。
けれど、別れる事になってしまった。
今は何事もなかったように暮らしている。
けれど、当時はいろいろあったに違いない。

叔母さんの今の恋人らしい、大学教授。
紳士的に見えて、とても身勝手な男。
彼も様々な事情を抱えて生きているのだろう。
けれど、他人の痛みには気づかない。自分の事しか考えない。
だから、とても醜く見える。

孝史の気持ちを完全には理解できていなかったかもしれない。
でも、かわいそうだと感じた朔子。
一晩限りの家出に付き合う。

孝史もまた、強制的に援交させられそうになった少女を助ける。
自分の心に痛みを抱えているからこそ、
他人の痛みにも敏感になり、見過ごすわけにはいかない。
こんにちは、赤ちゃんの歌声が、微笑ましくも可笑しく感じられる。
それ以上に、少女の笑い顔が、微笑ましくも嬉しく感じられる。

果たして、朔子はどのように人生を選び、目標を定めるのか?
そんなことを考えると途方にくれてしまうのかもしれない。
自分はカラッポだと気後れしてしまうかもしれない。
けれど、身近なところから、見える範囲から、始めていくのだろう。

人には、それそれの事情がある。
大人であっても、子供であっても。
それら事情の総てを理解できている訳ではない。
けれど、他人の痛みに気付いた少女。
そんな少女の出発点を描いた映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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