サン★ロレンツォの夜  
2014.05.22.Thu / 20:31 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






第二次世界大戦の最中のイタリアの片田舎。
村人たちは自らの生命をかけた二者択一を迫られる。
ナチス・ドイツに従い村に留まるのか?
アメリカ軍に助けを求め村を脱出するのか?
どちらかを選択した村の人々。
しかし、どちらの選択でも、待ち受けていたのは凄惨な悲劇。


戦時といえども人々は生活をしている。
逃避行といえども、日常生活に繋がっている。
自身の生活を壊される人々の想いは様々だ。

相手を殺して生き延びるのか。
相手に殺されて死んでしまうのか。
運命とも呼ぶことができる一瞬が人々の生死を分ける。

傷を負った者、傷を負った者を介護する者。
年を取った老人、まだ年端のいかない少年。
同じ村で育った見知った者同士。
戦場にあっては、誰もが憎悪の対象。
敵であれば誰も彼もが攻撃の対象となってしまう。

サン・ロレンツォの夜。
40年前の願いを叶えた老人。
けれど、戦争が終わってしまえば、それも過去の思い出。
どんなに悲惨だった出来事も、終わってしまえば過去の思い出。
けれど、あれが皆が愚かだから起こってしまった悲劇で、
それも遠い過去の思い出とは言えないのだろう。
なぜなら、それは今でも起こりうることなのだから。

美しい自然の中、寓話的に描かれているからこそ、
戦争の悲惨さが胸に迫る。
とても静かでほのぼのとした雰囲気をもった映画。
だからこそ、戦争の悲惨さを強く感じさせる映画。



イタリアのトスカーナ地方の小さな村。
そこに平和に暮らしていた人々。
しかし、戦争がここにもやって来る。
村人に修道院に集まるように命令するナチス・ドイツ。
修道院以外は総て爆破し、
修道院の外で見つけた村人は皆殺しと宣言されてしまう。
ナチスに従い村に残るのか。
逆らって村を脱出し、
すぐそこまで来ているだろうアメリカ軍に助けを求めるのか?
それは簡単には決めることができない命を掛けた選択。

村に留まった人々の悲劇。
やはり、ナチス・ドイツは村人を総て虐殺しようとしていたのだ。
司教を信じて村に残り、それでもかろうじて生き残ることが出来た人々の、司教を睨む目。
その視線になす術無い司教。遺体を運ぶ手伝いしかできない。
村人の怒りと悲しみも、
司教の虚しさも苦しさも十二分に伝わってくる。


村を脱出した人々の苦難。
村が爆破される時間に皆が思うこと。
せめてベットだけは、せめて居間だけは、残してほしい。
口では命があればやり直せると気丈な事を言うが、
しかし、本音はやりきれない思いに満ちている。
財産が失われるというだけではない。
今までの生活の基盤、楽しかった思い出。
それらが総て灰となってしまうからだ。

逃げ延びた村人たちが出会ったレジスタンス。
そこは、とてものどかで美しい小麦畑。
しかし、そこにもファシストたちはやって来る。

主義や主張は違えども、同じ田舎で育った幼馴染み。
けれど、戦争が彼らに殺しをさせてしまう。
お互いをよく知っているからこそ感情的となり、
憎しみも増してしまうのだろう。

傷ついた者を介護する人々。
敵同士と言えども怪我人には水を分けようとした彼ら。
さすがに、命を救う作業を妨害はしないのであろう、、、
しかし、目の前にいる相手が敵であるとわかったとたん、
殺し合いを再開してしまう彼ら。
それは、とても、やりきれないシーン。

まだ、年端のいかない少年。
親に洗脳されてしまったのだろう。
人を殺すために平気で嘘をつく。
これも悲劇的に感じてしまうシーンではあるが、
少年が逃げ遅れ殺されそうになった時、
少年の父親が命を賭けて少年を救おうとした時、
けれど、少年を殺してしまう男。
なぜなら、男も身重の新妻を殺されてしまっていたから。
とても残酷でやりきれない。

争いが終わり、長年の夢を叶えた老人。
このまま、ここに留まりたい。
けれど、相手であった女性は村に戻ろうとする。
夢は一時のもの。長くは続かない。
戦争が終われば終わってしまう。

この映画では寓話的に戦争の悲惨さが語られる。
なにか夢物語のようにも感じられる。
風景がのどかで美しければ戦争の悲惨さも強く感じられる。
けれど、夢は一時のもの、とは言えないのだろう。
あの時の人々が愚かすぎたから起こってしまった悲劇で、
戦争が終われば終わってしまう、とは言えないのだろう。
それは人々の本質はなにも変わっていないのだから。

とても不思議なスケール感を感じさせてくれる映画。
そして静かな中に強い平和への祈りが込められた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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