透光の樹  
2014.06.05.Thu / 13:13 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






過去に欲情した女性を追い求める男。
今更ながらに知った官能の世界に狂ってゆく女。

この映画は大人の純愛を描いた映画らしい。
であるならば、大人の純愛とは、
現状逃避的で、回りくどく、滑稽でいて、
厄介なものなのかもしれない。

自由になる為にルールを作り、
しかし、ルールに振り回されてしまう二人。

落ち着いた雰囲気の様でいて、しかし舞い上がってしまい、
交わす言葉は、なんだか、とても奇妙。

相手が死ねば見境も無く死を選ぼうとする。
そして相手が生きよと願えば、
その想いだけで生きてゆく。

残されてしまった女。
男を忘れられないのは呪いの様にも見える。
しかし、それでも彼女は幸せだったのだろう。

年甲斐もなく恋に狂った男女が哀れにも滑稽にも見える映画。



自由奔放な雰囲気を持っているように感じられる秋吉さんが、
千桐を演じるのは、ミスキャストのように感じてならない。
そこが残念でもある映画。

映像制作会社の社長、今井。
華やかな芸能界。流行の最先端は確かに美しい。
しかし、右から左へとお金を動かして、
その、おこぼれにあずかっているだけであり、
将来よりは目先の仕事に飛びつき、
だから忙しいんだと自分の仕事を卑下する男。

夫とは離婚し、年老いた父親をもつ、千桐。
父親の介護、借金に縛られて生きている女性。


再会をして、恋に落ちる二人。
けれど、どうしても、
厳しい現実から自分を救ってくれることを、
相手に期待しての恋愛であるように思えてならない。


不倫であるが故に、その一歩を踏み出すのは大変であろうと考えた今井は、
お金を提供することを提案する。
もちろん、千桐はお金が目的ではないし、
今井も、そんな関係を望んでいるのではない。
しかし、お金を渡せば自由に行動できる、なぜなら自分に嘘がつけるから。
そう、今井は考えたのだろう。
けれど、お金は逆に千桐を縛ってしまう。
本当に欲しいものが何であるかを見失わさせてしまう。
千桐を追い詰める今井。それは、渓流の先にあるものを見せる為。
それ以上に、千桐を開放させる為。


それまでは、様々なことに縛られて生きてきた。
けれど、自由を得た千桐。しかし、一気に来た春は、大人を狂わせる。
そして、今度は癌を患ってしまう、今井。

娘が居るにも関わらず共に死のうとする千桐。
僅かな延命よりは千桐との逢瀬を選んだ今井。
その時の自分の気持ちに正直に従ったからであろう。


今井が死んで15年後。
娘のことは分らなくなっても、今井の言葉だけは覚えている。
多分、それだけを心のよりどころに生きてきたのだろう。
確かに生きる力を与えたのは今井の言葉だが、
それを最後まで頑なに守って生きた姿は、呪いの様にも感じてしまう。
けれど、今井に出会う前の千桐は自分自身に縛られて生きてきた。
そこから開放されただけでも幸せなのかもしれない。

年甲斐もなく恋に狂った男女が哀れにも滑稽にも見える映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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