そこのみにて光輝く  
2014.06.12.Thu / 13:45 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




しかし、もう道を見失わない



過去に縛られた男。
家族に縛られた女、そして弟。
しかし、とても対照的な生き方をしている三人。

男は過去に苦しみ前に進めないでいる。
女と、その弟は辛い現状を隠すことも無く、
あっけらかんと生きている。
逃げることも無く。

彼女を助けたいと切望し、しかし、逆に助けられた男。
だから、もう人生を捨てない。
立ちふさがる数々の障害。
しかし、もう道を見失わない。

絶望的に見える未来、しかし、
男の決意が絶望的な未来に、きっと明かりを灯すだろう。

いったんは人生を捨てた男。
そんな男が最後に見せた決意が、とても力強く感じられる映画。




事故とはいえ目の前で仲間が死んだ。
その死骸を直視してしまった。
自分が急がせなければ死ななかったかもしれない。
そんな深い後悔故に、生きることを止めてしまった男、達夫。

父親は脳梗塞で、しかも性欲の処理が必要。
家は貧しく、家計の為には体を売らなければならない。
しかし、逃げることなく暮らしている女、千夏。

先が見えない絶望的な人生。
けれど、それを隠そうともしない。
とても明るく人懐っこい弟、拓児。
偶然にもめぐり合った三人。
そして魅かれ合う達夫と千夏。

千夏が体を売っていることを知った時、
酔いに任せて笑い出す達夫。
千夏に魅かれつつある自分を笑ったのかもしれない。
けれど、それでも忘れられないし、笑ったこと自身はとても失礼な事。
反発して、しかし、より強く魅かれ合う二人。

千夏が父親の性欲を処理していることを知った時、
今度は笑わない、笑えない。
千夏が家族の為に献身に尽くしていることを知っているから。
そんな状況から千夏を救いたい、けれど、救えない自分。
いや、本当は千夏を救えるのだ。自分が人生をやり直せれば、、、

山に戻ることを千夏に告げた夜、
一緒にその人の墓参りに行くことを千夏から提案される。
きっと、それは達夫が本当はやりたくても怖くて出来なかったこと。
でも、二人ならば乗り越えることが出来る。
泣きながらの、ありがとう。
この時、達夫は実は救われていたのは自分であることに気付いたのだろう。

徐々に明るく開けてゆく未来。
拓児もとても嬉しそう。
今までは小銭を稼ぐような仕事しか出来なかった。
そんな仕事しか、周りにはなかった。
家族を、姉ちゃんを自分の力で幸せにできる。
だから、山に行くことにこだわったのだろう。
けれど、その夢を壊そうとする男が居る。

今までの拓児は、無視し、逆に軽口を叩いてきた。
姉がその男の愛人であることや、体を売ってきた事を。
本当は辛かったのだろう。
けれど、明るい未来が見えかかってきた今、
もう我慢が出来なかったのだろう。
本人は意識していなかったかもしれない。
罪を犯せば山には行けなくなる。
けれど、拓児の中では、
山に行くことと、あの男を倒すことは同じ意味合いを持っているのだ。

達夫のアパートの前で待っていた拓児。
もう、山に行けなくなった。
あの男は死んでない、なかなかしぶとい。
と笑いあう二人。
もう、本当の兄弟のように見える。


父親を殺害しようとした千夏。
それは千夏が楽になりたいからでは、決して、ない。
全ての罪を背負ってでも、家族を、そして、父親を助けたい。
その想いは、今の達夫にならば十分理解できるのだろう。
だから、もう人生を捨てない。
立ちふさがる数々の障害にも、もう道を見失わない。

絶望的に見える未来、しかし、
達夫の決意が絶望的な未来に、きっと明かりを灯すだろう。

いったんは人生を捨てた男。
そんな男が最後に見せた決意が、とても力強く感じられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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