皇帝のいない八月  
2014.06.19.Thu / 14:14 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






自衛隊によるクーデター。
彼らの狂った思想の異常さと理不尽さ。
それを利用して政局の延命を図る政治家たち。
その腹黒さと恐ろしさ。
そして、男女の三角関係。

豪華俳優人が創りだす緊張感あふれるシーンの数々。
けれど、欲張り過ぎて、
どうにも焦点の合わない残念な映画。



国を憂い、クーデターを起こそうとする元自衛官たち。
クーデターの一環として寝台特急を乗っ取った藤崎。
首相を武力で交代させ、改憲をし、美しい日本を取り戻す。
しかし、その計画は実行前に露見し、ほとんどが阻止されてしまう。
色々な意味で、藤崎という男は狂っている。
自身の考えに酔いしれ、他を受け入れず、
美しい日本という曖昧な価値観を他者に強制する。
他人や愛する者たちを巻き込み、
国の為と言って、しかし、守るべきはずの国民を殺す。
その上、とても真剣に真っ直ぐに思い込んでいるので、たちが悪い。


彼らを利用して首相の座に着こうとする男、大畑。
彼らを切り捨て延命を図る今の首相、佐橋。
どちらも国の為というよりは権力が欲しいから。
体制維持の為に黙々と汚れた仕事をこなす内閣調査室、利倉。
彼も国民の為に働いているようには思えない。

騙し合いの末、佐橋が利倉を上手に利用して、大畑に勝った、
というところだろうか。

命を懸けるとは愛する人の為に歯を食いしばって生き抜くこと。
しかし、知ってはならないことを知ったがゆえに、
処分されてしまった、乗客や関係者の多くの命。
これは、生き抜くことを踏みにじる、まったく真逆なラストであり、
哀れと同時に恐ろしさや憤りをも感じる。
ただし、クーデターを起こす側にもっと正当性が感じられれば、
クーデター側の悲哀と政治家側の腹黒さが、
より感じられたかもしれない。
ただ、この映画はクーデターには反対という主張であろうから、
仕方が無いのだろう。

藤崎の妻、杏子。杏子の元恋人、石森。
よくある三角関係なのかもしれない。
けれど、映画の題材として描くには、陳腐すぎる。
もっと時間を掛けて丁寧に描けば良かったのだろうか?
命を掛けて生き抜くことを、
この三角関係で表現したかったのかもしれないが、
あまり感じることはできなかった。
クーデターに直接絡まないのも痛い。


欲張り過ぎて、それぞれの要素が、それぞれの要素の邪魔をしている。
どうにも焦点の合わない残念な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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