舟を編む  
2014.07.24.Thu / 21:58 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




誰もがきっと
辞書を好きになる


誰かと繋がりたい。
それには、まず言葉を捜さなければならない。
自分の気持ちを相手に的確に伝える為の言葉を。
しかし、それは難しい。
言葉は世界に沢山あって、日々変化を遂げ、
しかも生きているから。

他人と繋がりたい。
そう願い、言葉の大海に乗り出した青年。
そんな青年の冒険が、とても微笑ましい。
それを支える周りの人々の善意と辞書作りに対する熱意。
そして完成する大渡海。
そんな総てが嬉しく感じさせてくれる映画。


出演者さんたちがとても上手で、
配役もとてもピッタリ。
それを上手に生かした石井監督。
一人一人の個性も光る映画。



口下手で人に自分の気持ちを伝えるのが、とても苦手な男、馬締。
名前どおり、とても真面目な青年。
馬締は人が嫌いなわけではないのだろう。
人と繋がる必要性や願望を、
それまでは感じてこなかったのだろう。
しかし、配属された辞書編集部。
そこで知る、松本先生の辞書に対する熱意。
自分の天職とも言うべき仕事を見つけた馬締。
いままで死んだ魚のような顔つきがりりしく変わるのが微笑ましい。
けれど、辞書作りは簡単には進まない。


人に気持ちを伝える。その為には適切な言葉を見つけなければならない。
その為の辞書を作る。
けれど、人に気持ちを伝えるのが苦手な馬締。
生きた言葉が載った辞書を作るには自分だけでは難しい。
しかし、仲間とのコミュニケーションも取れない。
けれど、タケさんに諭されて一念発起。
同僚の西岡に話しかけようと、すがり付く馬締の必死さが、微笑ましい。


馬締の下宿に引っ越してきた、香具矢。
板前を目指す、とても芯の強い女性。
そして香具矢に惚れてしまう馬締。
皆が馬締の恋を後押しし、応援するのが微笑ましい。
手紙をしたためて、それが毛筆で読めないというもの、馬締らしくて可笑しい。
しかし、最後に馬締の気持ちは伝わったのだろう。
手紙と、「好きです」の言葉によって。
馬締が書いた恋の語釈が、とてもいい。


面倒なことが嫌いで口が達者な同僚、西岡。
西岡は辞書作りには熱意が持てなかった。
けれど、馬締の真面目さと熱意を知るうちに、
芽生えてくる、馬締を助けたいという気持ち。
辞書を作るという以上に、この生真面目な後輩を助けたい。
それはきっと、馬締の想いが立派に伝わったということなのだろう。

何も理解してないように見えて、
その総てを承知している、西岡の恋人、麗美。
この二人の関係も、見ていてなんだか、ほっとする。


変な人ばかりだと辞書編集部を嫌っていた、みどり。
けれど、馬締のこだわりを理解し、
辞書が生きていることを西岡から教えられる。
直後に態度が豹変する、みどり。
それが可笑しくて、しかし、気持ちがいい。


遂に完成する大渡海。
それを支えた松本先生の大きな熱意と情熱。
けれど、辞書の完成前に逝ってしまう先生。
しかし、先生の人生は充実していた。二人の編集員と共に。
感謝以上の言葉が存在しないのか、あの世で探したい。
その台詞は、とても感動的。

一つの大きな仕事を成し遂げた人々。
けれど、それは終わりではない。
用例採集の紙を見せあう馬締と荒木。
それは新たな仕事の始まりなのだ。
そんな二人がとてもかっこよく、輝いて見える。


これからもお世話になります。
みっちゃんて、やっぱり面白い。
これらの言葉は二人が見つけた、二人のお互いに対する感謝と愛情の言葉。
多分、馬締と香具矢は、自分の感謝と愛情の気持ちを、
もっと適切に表現する言葉が無いか、探し続けるだろう。


他人と繋がりたい。
そう願い、言葉の大海に乗り出した青年。
それを支えた周りの人々の善意と辞書作りに対する熱意。
そんな総てが嬉しく感じさせてくれる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1206 / タイトル は行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

人と繋がるには言葉を捜さなければならない。
辞書を作るには地道な作業を積み重ねていかなければならない。
そんな基本的な部分にハッとさせられた映画でした。

辞書作りに携わるどの人も、情熱を持って
やりがいを感じながら仕事をしていて、
大渡海が完成した時は、こちらまで感無量になりましたよ。

日本アカデミー賞作品賞に、
良い作品を選んだな~って思いました。

2014.07.28.Mon / 17:01 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

辞書というものを見直させる作品でしたね。
今までは考えもしなかったんですけど、
辞書作りには長い時間と多くの人の労力が必要なんですね。
そんな人たちが輝いて見えた映画でした。
ラスト近くの用例採集の紙を見せあう馬締と荒木が、
渋かったです。

日本アカデミー作品賞なのですが、知りませんでした。
男優賞もそうみたいですね。
これには納得です。

それじゃ、また。

2014.07.28.Mon / 22:34 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY
丁寧に紡がれた良質な映画。 とっても良かった!    監督:石井裕也 製作:2013年 日本 上演時間:133分 原作:三浦しをん「舟を編む」 出演:*松田龍平 *宮崎あおい *オダギリジョー *加藤剛 *小林薫 *伊佐山ひろ子 *黒木華 マジメって、面白い。 辞書は言葉の海を渡る舟。 それを編む(編集する)過程や、 携わった人々の情熱・苦労・喜びを描いた...
2014.07.28.Mon .No625 / RockingChairで映画鑑賞 / PAGE TOP△

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.