白ゆき姫殺人事件  
2014.09.04.Thu / 16:22 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人は自分が望んだことのみを記憶する。
記憶は自分の願望で無意識のうちに改ざんされる。

ネットワークはすべてを加速させる。
良い事も、悪い事も。
興味本位や自己顕示欲により、
悪い噂は、大きくなり、拡散されていく。


人に何かを伝えること。
相手への気遣いや愛情があれば、
それは、とても幸せな交流となるのだろう。
相手の事など考えなければ、
それは、単なる情報の垂れ流しとなり、
悪意があれば簡単に人を傷つけ命すら奪ってしまう結果となる。

本来ネットワークとは前者を目指すべきものではないのだろうか?
そして、それは使用者に依存しているのだろう。

人と人のコミュニケーション。その脆さと危うさ、しかし、幸せさ。
その対比が心に残る映画。





名前とは間逆で、とても地味な女性、城野美姫。
自分から意思表示をせず、幸せを諦めている。
だから、簡単に誤解されてしまう。
けれど、本心では幸せを望んでいる女性。
独占欲が強く我侭な女性、三木典子が殺された時、
興味本位で、この事件にかかわる事になった、赤星雄治。

赤星が得た様々な情報。
しかし、それは、情報を発信した人間が心に描いた記憶であり、
自分が信じたいと願望した虚像。
そして、姫野を犯人に仕立て上げるために捏造された情報。
その全てを信じ報道してしまった赤星。
だから、真実には到底たどり着けない。
姫野の本当の姿にも、この事件の真犯人にすらも。
ネットで騒がれれば騒がれるほどに、
報道が過熱すれば過熱するほどに、
実体からは、どんどんと遠ざかって行く。
それは、姫野本人が本当の自分の姿を忘れてしまうほどに。


ネットでは誰もが簡単に主役になれる。
簡単に自己顕示欲を満たすことができる。
表面的な事実で全てを知ったつもりになった赤星。
それを発信してるのは自分という優越感。
赤星はネットの罠に陥ってしまったのだろう。


自分は姫野の友達だと思っていた女性、前谷みのり。
しかし、実は違っていたのだ。
それは無意識なのかもしれないが、前谷は姫野を見て優越感を感じていたのだろう。
奥手で、遅れていて、それ故にダサく感じられる姫野に対して。
それを敏感に察知した姫野。
だから、もう友達ではない。
たとえ、前谷が、そう信じていても。


あっけなく判明した真犯人。
けれど、そこにサスペンスは無い。
姫野が犯人でなければ、一番疑わしい人間だから。
けれど、その意図するところは、
虚像の上に形作られた情報の脆さ、ということなのだろう。


姫野の幼馴染、谷村夕子。
最後に描かれる二人の交流。
長いこと会ってない。けれど、心と心で会話する故に、
それはとても美しく、幸せな光景に感じられる。
便利な道具など必要はない。無くとも心を満たすことが出来る、
心と心で相手に向かい合えば幸せを得ることはできるのだろう。

姫野の両親に謝りに来た赤星。
けれど、赤星は姫野に出会っても、それが当人であることに気づかない。
なぜなら、心と心で交流してこなかったから。
真実が分かり相手に対して謝罪しなければならなくなっても、
最後まで相手に心を向けることはなかったのだろう。
だからこそ、赤星は情報という迷路に迷い、
間違った真相にたどり着いてしまったのだろう。



本来ネットワークとは人々を幸せにするもののはずである。
そして、それは使用者に依存しているのだろう。

人と人のコミュニケーション。その脆さと危うさ、しかし、幸せさ。
その対比が心に残る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1218 / タイトル さ行 /  comments(2)  /  trackbacks(2) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

人は自分が望んだことのみを記憶する・・・
これは的を射た言葉でしたね!
誰もが自分の都合の良いように、
情報を記憶し、拡散し、報道する。

どの登場人物も、どのケースも、
いるいる! あるある!と思えるものばかりでした。

ネットやマスコミの危険性を見せている映画だと思ってましたが、
対比として、良いコミュニケーションも描かれてましたね。
美姫と夕子は心と心で向かい合っていました!
やはりこの部分は原作にはない中村監督のオリジナルでしょうか。

2014.10.08.Wed / 17:46 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

中村監督の映画というのもあったけど、
貫地谷しほりさんや、谷村美月さんとか、気になる女優さんが、
結構沢山出ていたので見ました。(女優ばかりですね。)
でも、実は飛行機での鑑賞でした。

YANさん、なかなか鋭いですね。
私の記憶が正しければ、最後の美姫と夕子のシーンはオリジナルでした。
さらに、赤星が姫野に気付かないシーンも確かオリジナル。
そういう意味でも中村監督はわかり易く、けれど、
喋り過ぎない、適度なバランスで映画作製してたように思えました。

それじゃ、また。

2014.10.08.Wed / 22:09 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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