私の男  
2014.09.11.Thu / 16:38 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






家族を失った男と少女。
お互いの総てを理解しているとばかり思っていた。
確かに最初はそうだった。だからお互いを求め合った。

けれど、男が欲したものは、家族。
少女が欲したものは、男のすべて。

女は覚悟を決めて、捨て身で自分の信じた道を進み、
男はとまどい、後悔が強く心を支配する。

あなたの全ては私のもの。
女は最後には男を支配し、それを男は受け入れる。
この女の支配欲が向けられるのは自分だけ。
この女の支配欲に耐えられるのは自分だけ。

秘められた関係における強欲。
秘めた関係だからこそ、その欲望は濃密に熟成されるのだろう。
その凄まじさに圧倒される映画。



衝撃的なストーリー。
それを見事に演じきった浅野さんと二階堂さん。
そのすさまじさに身震いを覚えてしまうな映画。





地震と津波で家族を失った少女、花。
映画では経緯は述べられてはいないが、やはり家族を失っている淳悟。
家族として暮らし始める二人。
きっと、淳悟は花と家族として暮らしたかったのだろう。
けれど、花は淳悟の総てを欲していた。
そして、花に引きずられるままに、男と女の関係に陥ってしまったのだろう。


淳悟には小町という恋人が居た。
けれど、花と淳悟の関係を悟り、身を引いた。
悟ったというよりは、花によって悟らされたのだろう。
確かに小町は大人の女で美しい。
けれど、淳悟にとっては役不足。
そして、血が繋がっている自分にしか淳悟の欲求は満たせない。

小町がそこまで理解できたかは分らないが、
しかし、小町は淳悟と花の関係の奥深さと、いかがわしさを思い知り、
逃げ出したのだろう。



花と淳悟の関係を知り、止めさせようとした大塩。
しかし、それは大塩の認識の浅さによって失敗し、大塩自身も殺されてしまう。

「花ちゃーん!助けてくれーーー!」
花は明らかに大塩を殺そうとして、流氷に誘い込んだのだろう。
なぜなら、二人にとって邪魔な存在なのだから。
だが、自分を殺そうとしている人に助けを求める台詞。
大塩は、死に逝く直前まで花の殺意には気付かなかったのだろう。

きっと、話せば理解してもらえる。
何も知らない花を淳悟は、たぶらかしているだけなのだから。
そんな認識の浅さが、大塩に花の殺意を気付かせなかったのだろう。
花は総てを理解している。そして受け入れている。
神が赦さなくても、自分が赦す。
それは、たとえ人を殺しても。



東京に逃げ出した淳悟と花。
しかし、ここにも刑事が追ってくる。
追ってきた刑事を殺した淳悟。
そして激しい後悔に苛まれ、
二度とまともには生活できない精神になってしまう。

人を殺しても二人の世界を守ろうとした淳悟と花。
しかし、その後はとても対照的だ。
花が幼くて純粋で、淳悟は大人だからなのか?
花の女の強さ、淳悟の男の弱さ故だからなのだろうか?



決して自分は後悔しない、愛している人にも後悔させない。
そう、大塩を殺した時に誓った花。
けれど、後悔に苛まれる淳悟。
私は何も悪くは無い、私たちは何も悪くは無い。
しかし、淳悟の気持ちを既に理解できなくなっていた花。
愛だけで生きようとした、けれど生きられなかったということなのか?
後悔しない生き方などは存在しないということなのか?



他の男と結婚することになった花。

お前には無理だ。
淳悟の台詞には嫉妬の思いもあっただろう。
しかし、花の愛情を受け入れ応えることが出来るのは、
自分だけだという自負もあっただろう。

残念ながら、花の最後の台詞は聞こえなかったが、多分、
「あなたの全ては私のもの。私の全てはあなたのもの」
そんなことを言っていたのではないのだろうか?


秘めた関係だからこそ、その欲望は濃密に熟成される。
関係が濃いからこそ、他者は排除されてしまう。
その凄まじさに圧倒される映画。

ただ、迷い始めた花とラストの花が上手く繋がらない。
力技で押し切られた感じがして、そこだけが残念。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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