スノーピアサー  
2014.10.02.Thu / 21:26 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






世界を維持する為には秩序が必要だ。
秩序とは、
最適なバランス。
居るべき場所に留まること。
そして、崇拝すべき対象。

しかし、永遠なるシステムは有り得ない。
そして、たとえ愚かしい選択であり、滅びの道を進もうとも、
その選択を選ぶことは、人としての権利なのだろう。
なぜなら、その結果に対する責任を取るのは、
その選択者であるべきだから。

列車に囚われていた人々。
その救われない人生を救った男。
その苦しみの選択が心に残る映画。



突っ込みどころが沢山ありそうな映画。
けれど、大抵は説明可能なのではないのか?
世界観が面白いだけに、ちょっと可哀想な映画。





17年前に散布された薬品の為に氷河期が来てしまった地球。
列車に乗っていたが故に生き残ることができた人々。
後から乗り込んだであろう人々は最後尾で貧困に喘ぐ生活。
最後尾の人々の、人間らしい生活を取り戻す為に立ち上がった男、カーティス。
斧やたいまつを振り回す戦闘シーン。
戦いの最中でも新年を祝う戦闘員。
凍りついた街や船。
列車の中の水槽、寿司、歯医者や退廃した人々。
子供たちを洗脳する教育のコミカルさ。
突如としてマシンガンを振り回す女教師。
一本調子になりそうなストーリー構成なのに飽きさせない。
さすが、ポン・ジュノ監督。

先頭の車両を前にして過去の罪を告白するカーティス。
それは、
「俺はリーダーじゃない。」
「女を抱きしめるには両腕のほうがずっといい」
それらの言葉の重み。
復讐と贖罪の為に、カーティスは先頭車両を目指したのだろう。


ウィルフォードが告げる列車という世界の仕組み。
ウィルホールドは権力や富が欲しくて人々を支配しているのではない。
世界を維持するために人々を支配しているのだ、
そして、世界を維持するには秩序が必要なのだ。
それは自然淘汰には任せては置けない微妙なバランス。


皆が傷ついても先頭車両を目指したカーティス。
そのカーティスの決意を聞いた時、ギリアムはこう言った。
「話す暇を与えるな、舌を切り落とせ。」と。
それはウィルフォードと自分が創った世界を終わらせてくれ、
そして、新しい世界を創ってくれ。
というカーティスに対するお願いだったのだろう。

ウィルホールドも、
心のどこかで分っていたのではないのだろうか?
永遠なるシステムは存在しない。
この世界の寿命も尽きかけている。


エンジンさえ押さえれば勝つことが出来ると考えていたカーティス。
しかし、それだけでは勝てないことを悟る。
人は愚かだから支配して導かれるべき存在なのか?
それとも、人は愚かであっても自らの運命は自分で決める権利を持つ存在なのか?
カーティスが自らの腕を差し出して、出した結論は後者なのだろう。

列車は停止し、開放された少女と幼子。
この世界を彼らは生きていけるのか、それとも死んでしまうのか?
もう導き手はいない。独裁者もいない。
けれど、自分たちで自分の生き方を決める自由がある。

列車に囚われていた人々。
その救われない人生を救った男。
その苦しみの選択が心に残る映画。




最後に
この映画に対して、なぜ列車なのか、という疑問をよく聞く。
たしかに氷河期のシェルターを造るだけならば停止していた方が効率的だ。
けれど多分、順序が逆なのだろう。
少年の頃の夢である無停止で運行するクルーズ列車を作った。
そしたら氷河期が来た。
乗り合わせていた人は偶然助かった。
ということではないのだろうか?
ウィルホールドは氷河期対策の為にこの列車を作ったわけではないのだろう、多分。

それと、一人二役らしい、ティルダ・スウィントンさん。
私にも、もう一つの役は分らないが、
多分、歯医者の車両の次の車両で階段を降りて目の前を横切った黄色いスカートの女性、
ではないか?




* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1225 / タイトル さ行 /  comments(2)  /  trackbacks(2) /  PAGE TOP△ 拍手する
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- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
私は、列車という設定には全然拘りませんでした(^^;
面白い世界観で人間社会の縮図を描いていると思ったので。

ウィルフォードが考える 世界を維持する秩序は、
富裕層にとって都合の良いものでしたね。
観ていて、そんな世界は終わりにしてと思いました(- -)

ラストは少女と子供だけで生きていけるのか、
そこは不安だけれども、自分達の運命を切り拓く
新しい世界へ希望を託した形に見えましたね。

ティルダさんは二役だったんですか?
あれだけでも凄い変身だったのに、分かるはずありません(≧ε≦)

2014.10.07.Tue / 17:48 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。


世界観に拘るような人も居るみたいですが、
自分もあんまり列車という設定はOKでした。
というか、面白いなら何でもOKって感じです。

ウィルフォードが考える 世界を維持する秩序は、
裕福層にとって都合が良いというばかりではなく、
上目線というか、愚民を率いるのは賢い一部の人、
という感じで好きになれませんでした。

最後に少女と子供だけで生きていけるか、ですが、
たとえ生き残れなくても
自分自身で未来を切り開ける可能性があるだけでも
死んだように生きていた今までに比べれば、
人間としてマシなんじゃないかと思えます。

私は、あの役がティルダさんというのは
最後までわかりませんでした(^.^;)

それじゃ、また。

2014.10.07.Tue / 22:30 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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