2つ目の窓  
2014.10.30.Thu / 14:33 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人生に怯えていた少年。
命を知らなかった少女。

生きること。
死んでしまうこと。
人を愛すること。
二人にとって人生は、理解できないこと、
まだ知らないことばかりであった。

けれど、
思ったとおり行動してみろ。
自分で悩んで自分で解決してみろ。
うまくいかなかったら、それは大人が引き受ける。
そんな言葉に背を押された二人。
あたらしい人生を始める少年。
命の仕組みを自分なりに理解できた少女。

まだ、知らないことは沢山あるかもしれない。
時に迷うことだってあるだろう。
けれど、大丈夫。
二人で居れば。
見守ってくれる大人がいれば。
それはとても幸福なことなのだろう。
そんな幸福さが嬉しく感じさせてくれる映画。




海を恐れていた少年、界人。
母の死を実感できていなかった少女、杏子。
界人が海を恐れているのは、底に何があるのか見えないから。
それは、彼の人生観とも同じなのだろう。

好きな人と出会い、結婚し、子供を設け、家庭を持つ。
そうやって人は幸せを築いていく。
しかし、壊れてしまった界人の家庭。
父と母は愛し合っていたはずなのに、今は別々に生活し、
風船の紐が切れたかのように母は男の間をさ迷う。
なぜ、こうなってしまったのか?
自分も、将来同じことをしてしまうのではないのか?
そんな漠然とした不安が海を怖がらせていたのだろう。



母が死んでしまう。
そう医者に告げられても死を実感できない杏子。
死んでしまうこととは、一体どんなことなのか?
周りの大人に聞いても実感が持てない。
たとえ母が死んでしまったとしても想いは残る。
けれど、それが良く分らないから、足りないと感じてしまう。

人間の食事の為に犠牲になる羊。
もしかしたら、それは人のエゴなのかもしれない。
けれど、このシーンから強く感じたことは、
死を静かに受け入れる羊に対する感謝の気持ち。
そして、この死を決して無駄にしてはいけないという気持ち。
これこそが命が繋がっているということなのだろう。
魂が体からは抜けた。けれど命は受け継がれていく。
杏子は自分なりに死というものを理解できたのだろう。

母親の死を静かに見つめる杏子。歌を唄う村人たち。
肉体から魂が抜け、その魂は別な世界に旅立ち、自分たちを見守ってくれる。
それでも死という苦しみを通らなければ魂は別な世界に旅立てない。
死に逝く母親に寄り添う杏子や村人たちは、
母親に感謝し、その苦しみを和らげたいと願っているように感じられた。



母親を強く罵り、しかし、母親は大事な人であることを思い知った界人。
母親の生き方を理解できない、のではないのだろう。
理解したくは無かったのだろう。
母親の今の生き方を受け入れることは、
父親を裏切り、父親との絆が無くなってしまうこと、
そして自分の家族がこの世から消滅してしまうこと、
と恐れたからだろう。

母を強く罵り、母親を失ってしまったと後悔した。
けれど、自分の思いを受け入れてくれた母親。
時に激情に任せて取り返しのつかなそうな行動をしても、
実は大人はキチンと受け止めてくれるのだ。



この映画は死と自然を描いたようにも思える。
であるならば、二つ目の窓とは死を意味しているのかも知れない。
けれど私には、二つ目の窓とは人生の新しい見方のように感じられた。
新しい様々な経験がその人の価値観を豊かにし、
その人自身の生き方をも実りあるものにしてゆく。
そんなように感じられた。


新しい人生を始めた二人。
それを見守る大人たち。
そんな幸福さが嬉しく感じさせてくれる映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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