ぶどうのなみだ  
2014.11.20.Thu / 12:55 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




まだまだ、だな。


美味しいワインを造りたい。
懸命にぶどう作りに取り組んでも、
しかし、思い通りの味には届かない。

何が悪いのか、何が足りないのか?
思い悩み、途方に暮れる。

けれど答えは目の前にあった。
ぶどうは懸命に生きている。
根を遠くまで張り、水を求めている。
周りの人たちも自分を心配してくれている。
人生に一時失敗したから見えなかっただけだ。


人生に失敗した男が再生する物語なのかもしれない。
しかし、それ以上に感じるのは、
自然の雄大さ。人間の小ささ。
心を小さくしていたのでは、自然は応えない。
心を広く持たなければ、自然は見えてはこない。

やっと、その入り口に立った男。
けれど、父親は言うのだろう。
まだまだ、だな、と。

自然の雄大さ、美しさ、それに対峙する心のあり方。
そんなことを感じさせてくれた映画。



大泉さんは本当に多彩な人。
安藤さんの表情が、とても豊かで素敵に見える。
そんな二人の演技も堪能できる映画。




指揮者として成功し、しかし難聴で道を閉ざされた、アオ。
失意の底に居た時に味わったぶどうの美味しさ。
それに魅せられるように、ぶどう造りに邁進する、
生真面目で思い込んだら一途に取り組む男。
そして、とても排他的な男。
アンモナイトを掘り起こす。そんな夢を持つ、エリカ。
自由奔放、人生をとても楽しんでいる、
けれど、母親に複雑な感情を持つ女性。


出会い方は最悪だった。
けれど夕日に輝くぶどう畑を見て、その美しさに涙ぐむエリカ。
調子がいい、いい加減な女性というのはアオの勘違い。
この時、アオは自分の思い込みに気付いたのだろう。


美味しいワインを造りたい。
けれど、思った味には、なかなかにたどり着かない。
土が悪いのか、何かが足りないのか?
懸命に本を読んでも答えは見つからない。


父親が捨てたと思ったトロフィー。
自分の名前は荒地という意味。
しかし、それらは勘違い、自分の勝手な思い込み。
愛情は、確かに、そこにあった。
けれど、自分が小さくて気付かなかっただけ。

美味しいワインを造るために脇目も振らず取り組んできた。
けれど、自分の力だけでなんとかなると思うのは、大きな思い上がり。
ぶどうも、根を遠くまで張り、水を求め、頑張って実をつけようとしている。
自分の周りの人たちも自分の事を心配してくれている。
様々なものを受け入れ協力してもらわなければ自然は応えてはくれない。
長い時間を掛けて多くの生命が土には宿っている。
その大きさを知り、目を向けなければ、自然は応えてはくれない。


ワインには、それを創った人の個性がにじみ出るのかも知れない。
土臭い。我侭で硬い、しかし、情熱的。
弟であるロクに、そう評される、アオが創ったワイン。
しかし、これが好きだ。
なかなか、良く出来た弟だ。


晴れた日に突然降り始める雨は不吉なことを呼ぶ。
それも、やはり思い込み。
思い込みや勘違い、憎しみは時として人を小さくする。
けれど、素直になりさえすれば見えてくる。
見えてくれば大きな気持ちを持つことが出来る。

やっと、その出発点に立つことができたアオ。
けれど、父親は言うのだろう。
まだまだ、だな、と。


自然の雄大さ、美しさ、それに対峙する心のあり方。
そんなことを感じさせてくれた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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